活性酸素、気にしてますか?抗酸化物質アスタキサンチンがすごい!

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活性酸素、気にしてますか?抗酸化物質アスタキサンチンがすごい!

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「スポーツ選手は寿命が短い」なんていう噂を耳にしたことがあるかと思います。運動をしている人は健康的だというイメージが強いので一見矛盾するような噂かもしれませんが、実は統計的にもスポーツ選手は寿命が短いことが知られています。原因としては様々考えられますが、その中でも主要な原因と思われるのが「活性酸素」です。

活性酸素は寿命だけでなく、運動パフォーマンスとも強い繋がりがあります。運動中には活性酸素が多く発生するので、運動のパフォーマンスを下げる原因にもなっているのです。

今回はそんな活性酸素について、一体何者なのか、運動をしていても寿命が縮まらないようにはどうした対策をとればいいのかを紹介していきます。

活性酸素は運動時に酸素が変化したもの

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まずは活性酸素とはどのようなもので、どうしてできるのかを説明していこうと思います。

活性酸素とは、エネルギーを作る際に生じる強い酸化能力を持つ酸素種のことを言います。通常の酸素の場合は、電子の数のバランスがとれており安定な状態にあるのですが、電子のバランスが崩れると他の物質から電子を奪うようになり、反応性が一気に高まります。こうした状態になったのが活性酸素です。

活性酸素は、非常に反応性が高いので細胞の器官やDNAなどを無作為に傷つけてしまいます。そんな活性酸素は、体を動かすたびに生じています。私達は運動をするとき、体内のエネルギー工場であるミトコンドリアという器官でエネルギーを作り出し、そのエネルギーを使って筋肉を収縮させ、運動しています。その際に、酸素を使うのですが、使用した酸素の数パーセントは、活性酸素へと変わってしまうのです。活性酸素には、実はスーパーオキシドラジカル、過酸化水素、一重項酸素、ヒドロキシラジカルの4種類が存在しています。ミトコンドリアで生じるのは、主に酸素分子が電子を一つ獲得し、活性化されたスーパーオキシドラジカルです。

体内では、エネルギーを作る際に、どうしても発生してしまう活性酸素を取り除くための酵素を蓄えています。様々な酵素があるのですが、最も有名なのがスーパーオキシドディスムターゼ(Superoxide dismutase : SOD)という酵素です。この酵素は、ミトコンドリアで生じるスーパーオキシドラジカルを通常の酸素や過酸化水素へと変換し、活性酸素から体を守ってくれています。この他に、過酸化水素を水と酸素へ分解するカタラーゼや反応性の高いペルオキシド構造を分解するペルオキシダーゼという抗酸化酵素が知られています。

それでは、活性酸素から体を守る方法は何かないのでしょうか。その方法として、抗酸化物質を摂取する方法があります。抗酸化物質は、実は意外と身近なところにあります。美容によいとされているビタミンCやビタミンEは、実は抗酸化物質としての役割も持っているのです。活性酸素は、電子のバランスが崩れるために生じるのですが、ビタミンCやビタミンEは、崩れてしまった電子のバランスを整えることで抗酸化作用を発揮しています。しかし、ビタミンCやビタミンEよりも数百倍強い抗酸化作用を示す物質があるのです。それが以下に紹介するアスタキサンチンという物質です。

抗酸化物質アスタキサンチンがすごい!

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アスタキサンチンという物質はすごく強い抗酸化作用を示す物質です。私達の体を構成する細胞は脂質により二重の膜を作っているのですが、ビタミンCやビタミンEなどはその膜の間にしか存在することができません。しかし、アスタキサンチンは、その膜を通過することができるので、細胞全体に存在することができます。そのため、強い抗酸化能力を持っているのです。運動をしていると、活性酸素が多く発生し、細胞を傷つけるので運動パフォーマンスが低下するのですが、アスタキサンチンは、そうしたパフォーマンスの低下も防いでくれます。

マウスにアスタキサンチンを投与した実験では、投与しない群と比べアスタキサンチンを与えた群で、疲労困憊に至るまで走り続けられる時間が長くなりました。どうしてそうした結果に至ったかを調べると、脂質の取り込みが関係していることが分かりました。

筋肉は、エネルギー源として脂肪を使う時、FAT/CD36というタンパク質を介して脂肪を筋細胞へ取り込みます。ここからさらに、CPT1というタンパク質を介して脂肪をミトコンドリアへと取り込み、エネルギー源として使います。運動を続けると活性酸素によりFAT/CD36やCPT1がダメージを受け、脂肪の取り込みが悪くなるのですが、アスタキサンチンを摂取することでFAT/CD36やCPT1を活性酸素から守り、脂肪の取り込みの阻害を抑制したのです。実際にエネルギー代謝を測定したところ、アスタキサンチンの投与によりエネルギー源としての脂肪の利用が上昇していました。

長時間の運動では、脂肪の利用が上昇することで筋肉に蓄えられているエネルギー源であるグリコーゲンの利用を抑え、運動継続時間が上昇することが知られています。アスタキサンチンの摂取により脂肪の取り込みに関わるタンパク質であるFAT/CD36やCPT1を活性酸素から守り、より脂肪を利用できる状況を作り出しグリコーゲンの利用を節約することで長時間運動を継続することを可能となったのです。この他にアスタキサンチンはNrf2-ARE経路という、抗酸化酵素に関連するシグナル経路を活性化させることが知られています。これによりSODやカタラーゼなどの抗酸化酵素の発現が上昇し、体内でより活性酸素を処理できるようになります。

アスタキサンチンは活性酸素から体を守ってくれるだけでなく運動パフォーマンスの改善にも貢献し、体内の抗酸化酵素を増やしてくれるのすごい物質なのです。

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