ミネラル、足りていますか? 運動中のミネラルの役割を紹介

ミネラル、足りていますか? 運動中のミネラルの役割を紹介 DO

ミネラル、足りていますか? 運動中のミネラルの役割を紹介

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五大栄養素の内、糖質や脂質はエネルギー源として使われます。タンパク質は筋肉を構成する栄養素であり、ビタミンは、エネルギーを作ったり筋肉を作り出す補助をしたりする役割があります。

もう一つの五大栄養素として、ミネラルが挙げられます。ミネラルは、主にナトリウムやカルシウムといった無機物から構成される栄養素で、体内で独特の役割を果たしています。運動中にもミネラルは、重要な働きを持っているのですが、その役割はあまり知られていません。

今回は、ミネラルは運動中にどのような役割を果たしているのかを紹介していきます。

脳からの命令を伝達する「ナトリウム・カリウム」

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脳は、筋肉に収縮しろという命令を、電気として伝えているということは、生物の授業で習ったことがあると思います。それでは一体どのようにして脳の命令を電気として筋肉へ伝えているのでしょうか。

脳からの指令は、たくさんの神経細胞を介して伝わります。神経細胞では、脳からの指令を電気として隣の神経細胞へ伝えるのですが、その役割を果たしているのがナトリウム・カリウムポンプというタンパク質。

神経細胞は元々、細胞内にはカリウムが多く、細胞外にはナトリウムが多いという状態を維持しています。ナトリウム・カリウムポンプが働くと細胞内のカリウムが細胞外へ、細胞外のナトリウムが細胞内へ移動します。

ナトリウムとカリウムは、イオンという電荷を持った状態で、細胞内外に存在しています。通常時には、電気的にバランスが取れていますが、ナトリウム・カリウムポンプが働くことで、電気のバランスが崩れ、細胞が電気を帯びるようになります。

一つの神経細胞が電気を帯びると、その隣の細胞のナトリウム・カリウムポンプが刺激され、隣にある神経細胞も電気を帯びるようになります。

こうした反応が連続的に起こることで、特定の筋肉に電気的な刺激を送り、筋肉を収縮させることができるのです。このように、ナトリウムやカリウムには神経細胞の命令を伝えるという役割があります。

激しい運動をした時に、足をつった経験がある方は多いと思いのではないでしょうか。足をつる原因の一つとして挙げられるのが、ナトリウムとカリウムのバランスがとれず、脳からの指令がうまく伝わらないということ。

また、フグには毒が含まれていて、食べると死に至るというケースがあります。フグの毒には、ナトリウム・カリウムポンプの働きを阻害するという作用があります。そのため脳からの命令が届かず、最悪死に至ってしまいます。

筋肉収縮のトリガー「カルシウム」

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神経細胞が筋肉へ電気刺激を伝えた後はどのようにして筋肉が収縮するのでしょうか。

神経細胞から電気的刺激を受けると、筋細胞の中にある小胞体という器官が働きます。小胞体の中には、カルシウムがたくさん貯蔵されていて、小胞体が電気刺激を受けると、中に入っているカルシウムが細胞内へ放出され、細胞内のカルシウム濃度は100倍にまで上昇します。

筋肉は、アクチンとミオシンというタンパク質が相互に作用することで、収縮することができます。しかし、脳からの命令がない時には、トロポニンというタンパク質がアクチンとミオシンの結合を邪魔し、筋肉は収縮することができません。

しかし、脳からの指令が筋肉に届き、細胞内のカルシウム濃度が上昇するとカルシウムがトロポニンに結合して構造が変化し、アクチンとミオシンが結合して筋肉が収縮できるようになります。このように、カルシウムには筋収縮のスイッチをオンにするような働きがあります。

他にも、細胞内カルシウム濃度が上昇することでカルモジュリンというタンパク質を活性化させ、細胞の成長を促進するような働きを示したりもします。

カルシウムと言えば、骨を構成する栄養素。カルシウムが足りないと、骨密度が下がり、骨折を起こしやすくなります。また、ランニングなどでは、着地の際に、骨に小さな衝撃が加わるのですが、骨が弱いとそれが積み重なり骨にヒビが入り、疲労骨折という状態になります。

特に女性は、男性よりもカルシウムが不足しやすいので、運動を行っていない方でも、積極的に摂取しておきたい栄養素です。

酸素の運搬役「鉄」

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筋肉の収縮に必要なエネルギーを生み出すためには、エネルギーを作り出すための酸素を筋肉へ届ける必要があります。その役割を担っている栄養素が鉄。

酸素は、肺から血液へ取り入れられ、血管を通り筋肉へ送られます。しかし酸素は、血液の中を単独で動き回ることはできません。そこで活躍するのが鉄です。

酸素は赤血球という細胞によって、筋肉に運ばれるのは多くの方が知っているかと思います。赤血球には、ヘモグロビンという独特なタンパク質があります。ヘモグロビンは、鉄が含まれているのが特徴で、鉄は酸素と直接結合することができます。このことにより赤血球は、酸素を運ぶことができるのです。

鉄が不足していると、疲れや立ちくらみを感じることがあります。これは脳や筋肉に十分な酸素を運ぶことができないために起こります。

ランニングをよく行っている方だと、着地の際に足の裏に衝撃が加わります。それにより気づかない間に赤血球が壊れてしまい、溶血性貧血という状態になることもあります。これは靴の裏にクッションを敷くことで予防することができます。

鉄も特に、女性では不足しやすい栄養素となっています。貧血気味だと感じる方や長距離を走るランナーは鉄を積極的に補うようにしましょう。

タンパク質の調節役「亜鉛」

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最後に紹介するのは、亜鉛です。亜鉛は様々なタンパク質の働きをオンにするスイッチのような役割を果たしています。特に運動中には、抗酸化系のタンパク質を働かせます。

運動を行うと、酸素が消費され二酸化炭素へと変わるのですが、その内の一部は、活性酸素という体内にとっては、毒となるものへと変わります。

しかし、体はそれを対処できるように作られており、活性酸素を除去する酵素が備わっています。しかし、その酵素を働かせるためには亜鉛が必要となります。

この他に、タンパク質の合成にも関わっています。タンパク質は、細胞の情報を保存しているDNAから情報を読み取り、その情報通りに、アミノ酸を集めて形を作ることで作られているのですが、亜鉛は、情報の読み取りの段階に関わっています。

そのため亜鉛は、様々な酵素を作ったり筋肉を増やしたりするために必要な栄養素となります。筋トレをしている方は、特に積極的に取り入れたい栄養素です。

ここまで紹介してきたように、ミネラルにはそれぞれ独自の役割があります。運動中にはあまり関係ないように思われるミネラルですが、実は意外なところで働いているということが分かったのではないでしょうか。

運動をしている方もしていない方も、これからは意識的にミネラルも摂取してみてください。


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