ウルヴス、カーディフ、フラム…今季の昇格クラブはココに注目!
WATCHウルヴス、カーディフ、フラム…今季の昇格クラブはココに注目!
優勝は、ウォルヴァーハンプトン、2位カーディフ、残りひとつの椅子を争うプレーオフを制したのは3位フラム。昨季のチャンピオンシップから、TOP3がそのままプレミアリーグに昇格し、新しいシーズンを戦っています。
3つのクラブがおもしろいのは、トップリーグで戦うための補強方針がまったく違うところです。キャッチコピーをつけるとすれば、「大型補強のフラム」「節約のカーディフ」「ポルトガル大好きウルヴス」。
(メイン写真 photo by Александр Осипов)
戦力強化は三者三様。大型補強のフラムに注目!
8月9日の移籍市場締切日に一挙5人を連れてきたフラムは、12人の即戦力を獲得しています。質より量かといわれれば、そうではありません。マルセイユから来たセントラルMFアンギッサの移籍金はクラブ史上最高額。ビッグクラブが狙っていたニースMFジャン・ミシェル・セリと、ニューカッスルから獲ったミトロヴィッチは、アンギッサに次ぐ2位と3位です。
ひと夏で3人もクラブレコードを更新するほどの本気のクラブは、さらに元チェルシーのアンドレ・シュールレ、アーセナルで出番を失ったカラム・チャンバース、マンチェスター・ユナイテッドの有望株フォス・メンサーをレンタルで獲得。セリと親友のニースDFマキシム・ル・マルシャンや、スウォンジーのDFモーソンまで引っ張ってきました。
フラムで最も注目の選手は、華やかな新戦力ではありません。18歳の怪物レフティ、ライアン・セセニョン。2016-17シーズンに16歳でトップチームデビューを果たし、公式戦30試合7ゴールという数字を残したセセニョンは、昨季は46試合15ゴールと大ブレイク。SB、サイドアタッカー、ウイングをすべてこなせる選手で、2018-19シーズンの活躍次第ではビッグクラブから声がかかるものと思われます。
セリやシュールレなどの新戦力が早期にフィットしたフラムは、TOP10フィニッシュもめざせるのではないでしょうか。スラヴィシャ・ヨカノヴィッチ監督の手綱さばきに注目です。
マンチェスター・ユナイテッドが4000万ポンド(約57億円)で獲得するという噂もあったセセニョン(PHOTO by Nick)
史上初のフィリピン人選手がいきなり新記録達成!
最も降格に近いのは、カーディフでしょう。ボーンマスからハリー・アーター、ベティスからビクトル・カマラサをレンタルしたものの、完全移籍で獲得した即戦力は、ノリッジにいたマーフィーやブリストルのリードなど、全員下部リーグに所属していた選手です。
2012年にユニフォームの色を青から赤に変え、サポーターの猛反発を受けたヴィンセント・タンオーナーは、ひところの威勢のよさは鳴りを潜め、近年は堅実経営にシフトしているようです。2016年の夏の最高額選手は、レンタルから完全移籍にスイッチしたフェイエノールトのMFレックス・インマルスの200万ポンド、1年前はロザラムから獲ったダニー・ワードの160万ポンド。プレミアリーグに昇格したこの夏も、ノリッジのマーフィーに投資した1100万ポンドが最高といわれています。
シーズン開幕前は話題にならなかったカーディフですが、最初の2試合を終えたところでスポットライトが当たった選手がいます。プレミアリーグで初めてのフィリピン人プレーヤー、ニール・エザリッジ。ボーンマスとの開幕戦でカラム・ウィルソンのPKをストップした28歳のGKは、ニューカッスル戦でも試合終了直前のケネディのPKをセーブ。
開幕から2試合連続のPKストップは、誰も成し遂げたことがない記録です。2014年の夏にフラムをお払い箱となり、4ヵ月も契約してもらえるクラブが見つからなかった苦労人は、今やチームになくてはならない絶対的守護神としてゴールマウスに君臨しています。
2年前はリーグ1(3部)のウォルソールでプレイしていたエザリッジ(PHOTO by Jon Candy)
こんなところにポルトガル人!彼らはなぜウルヴス?
2017-18シーズンのチャンピオンシップ王者ウルヴスは、ポルトガル代表の正GKルイ・パトリシオと、ポルトガル代表113試合のベテランMFジョアン・モウチーニョをダブルで獲得して話題になりました。
このチームの監督は、バレンシアやポルトで指揮を執ったポルトガル人ヌーノ・エスピーリト・サント。中盤のレギュラーはルヴェン・ネヴェス、エウデル・コスタ、ディオゴ・ジョッタとモウチーニョで、何と全員ポルトガル人です。ポルト、モナコ、アトレティコ・マドリードなどでプレイしていた有望株を、チャンピオンシップにいたチ―ムがなぜ獲得できたのか。
2016年の夏に、企業グループ「復星国際」がクラブを買収した際に、交渉を担ったのが辣腕代理人ホルヘ・メンデスだったとのこと。2年の間にポルトガル人が増え、現在は7人。さらにベンフィカからメキシコ人FWラウル・ヒメネスを引き入れ、フランス人DFウィリー・ボリをポルトから引っ張ってくるなど、ガチガチのポルトガルコネクションでチームづくりを進めています。
スポルティングCP、ポルト、モナコで活躍したジョアン・モウティーニョに注目(PHOTO by Дмитрий Садовников)
開幕戦でエヴァートンに引き分けたウルヴスは、中央に陣取ったポルトガルカルテットを中心に、マンチェスター・シティのようなパスサッカーを披露。3節に本家ペップ・グアルディオラのチームと当たると、ボリが先制ゴールをゲットし、ドローに持ち込む番狂わせでメディアを賑わせました。4節のウエストハム戦で決勝ゴールを叩き込んだアダマ・トラオレも、忘れてはならない新戦力です。
バルサのカンテラ出身のスペイン人FWは、ミドルズブラでプレイしていたときから快足ドリブラーとして怖れられていました。ヌーノ監督にスーパーサブとして信頼されている22歳は、カウンターの主役として機能するのではないかと思われます。
クラブも選手もキャラ立ちまくりの昇格クラブの試合も、ぜひ観戦してみてください。