日本代表チームが大健闘。プルエバ・ビリャフランカ・オルディジアコ・クラシカ
WATCH日本代表チームが大健闘。プルエバ・ビリャフランカ・オルディジアコ・クラシカ
7月25日にスペインバスク地方のオルディジアで、自転車レースのプルエバ・ビリャフランカ・オルディジアコ・クラシカ (Prueba Villafranca-Ordiziako Kolasika) が開催されました。
今年は、このレースに日本代表として7人の選手が参加。レース後には、石上優大選手が表彰台に立つことになりました。このレースのレポートをお送りします。
TOP写真:レース前にサイン台に並ぶ日本代表チームの7人。Photo by Yukari TSUSHIMA.
バスクの夏の名物レース
Photo by Yukari TSUSHIMA
ヨーロッパの中でも特に自転車熱の高い地域バスク地方。数多くのプロの自転車選手の故郷であると同時に、たくさんの自転車レースを支える人たちや自転車ファンが住む場所でもあります。
そんなバスク地方で開催される夏の名物レースの一つが、プルエバ・ビリャフランカ・オルディジアコ・クラシカ。今年で96回目の開催を迎えました。
コースは例年同様のサーキットコースで、距離は約165km。選手たちは、バスク地方特有の「距離は短く斜度のある登り」を何度も登り下りすることになります。
今年このレースには、18チームが参加しました。大レースの常連であるチーム・モービースター(Team Movistar)、イスラエル・サイクリング・アカデミー(Israel Cycling Academy)をはじめとして、地元スペインのレースではでおなじみの、カハ・ルラル・セグロス・RGA(Caja Rural Seguros RGA)が参加。
ブルゴスBH(BurgosBH)、エウスカディ・バスク・カントリー・ムーリアス(Euskadi Basque Country Murias)、フンダシオン・エウスカディ(Fundación Euskadi)、チーム・コメタ(Team Kometa)も参加しました。
また、メキシコやパラグアイ、アフリカのギニア国籍のチームが参加する非常に国際的な大会となりました。
日本代表チームの参加
Photo by Yukari TSUSHIMA
今年は、このバスクのレースに日本代表チームが出走しました。選手はゼッケン番号順に、雨澤毅明選手、石橋学選手、石上優大選手、入部正太郎選手、小石祐馬選手、増田成幸選手、岡篤志選手の7人です。
このレースには、最近数年間チーム右京が出走していたこともあり、村の人も日本のチームが出走すること自体に対しては驚く様子はありません。
しかし、今回は現役の日本チャンピオンを含めた、日本を代表するサイクリストが7人も出走するため、現地でもレース前から話題となっていました。
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日本代表チームにとって、約2週間に渡るヨーロッパ遠征の初戦となったこのレース。数日前にヨーロッパ入りしたばかりとは言え、選手は程よくリラックスした状態で、レースを迎えているように見えました。
例年にない高い気温の中、レースがスタート
Photo by Yukari TSUSHIMA
レースのスタートは朝10時。その1時間前から出走サイン台に各チームが集まります。この日はレースの舞台となる村・オルディジアのお祭りの日でもあるため、朝時9から観客は熱狂的に選手たちを迎えます。
毎年のように、この日レースに出走するサイクリストも珍しくありません。特に地元バスク出身の選手やチームには、観客から熱烈な声援が送られます。
毎年このレースに出走するガリコイツ・ブラボ選手(Garikoitz Bravo/Euskadi Basque Country Murias)は人気者。Photo by Yukari TSUSHIMA
家族や親戚の大応援団が駆け付けたのは、アレックス・アランブル(Alex Aranburu/ Caja Rural Seguros RGA)選手。彼はオルディジアの隣町の出身のため、毎年大応援団が駆け付けます。
アレックス・アランブル選手(Alex Aranburu/Caja Rural Seguros RGA)と彼のファンクラブ。Photo by Yukari TSUSHIMA
しかし、朝9時の時点で気温はすでに27度。そして、この日の最高気温の予想は37度。過酷な環境でのレースとなるであろうことは、スタート前からすべての選手や関係者たちが覚悟していました。
レースの前半は入部選手、後半では石上選手が活躍
Photo by Yukari TSUSHIMA
レースはスタートして30㎞ほどで、7人ほどの逃げ集団が形成されます。日本代表チームは、この逃げ集団の中に入部選手を送りこむことに成功。日本チャンピオンジャージを着た彼の走りは、バスクの自転車ファンの注目を集めました。
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先頭集団はリズムよく逃げ続けますが、モービースターとムーリアスの2チームがしっかりとメイン集団をコントロールします。そのため、逃げ集団とメイン集団のタイム差は最大でも3分程度しか開きません。
100㎞地点を過ぎたあたりから、レースが動き始めます。まず、メイン集団が入部選手を含む逃げ集団を吸収。その後大集団はスピードを上げ、最後の周回に差し掛かります。
モービースターの選手が数人大集団から飛び出そうと試みるも、最終的に成功したのは同チームのラファ・バリェス(Rafa Valles)選手。彼は最後の10㎞近くを独走し、今年のこのレースを優勝しました。
優勝したラフア・バリェス(Rafa Valles/ Team Movistar)選手。Photo Yukari TSUSHIMA
バリェス選手のゴール後、約30秒ほど遅れて15人ほどの選手がスプリントで一気にゴールになだれ込みます。
その中で石上優大選手が7位でゴール。この時点で、石上選手は、アンダー23カテゴリーのリーダー賞を獲得しました。ちなみにこの日のレースの平均時速は42.2km/h。例年同様に速いレースとなりました。
表彰式にて
表彰台の石上優大選手。Photo By Yukari TSUSHIMA.
石上選手は、この日のレース後、2回も表彰台に上ることになりました。一度目は、前述のとおり、このレースにおけるアンダー23カテゴリーのリーダー賞を受賞するめ、そして2度目は、このレース名物の「ナイスガイ賞」の受賞者として表彰台に姿を現しました。
Photo by Yukari TSUSHIMA
日本選手にレース後の感想を伺ったところ、
とにかく暑い。コース上に日影がほとんどないし、風も熱風が吹き付けている感じ。
とやはりこの日の気温の高さに苦しんでいた様子でした。とは言え、日本代表チームとしては、満足することのできるヨーロッパ遠征のスタートであったであろう、このプルエバ・ビリャフランカ・オルディジアコ・クラシカ。
バスクの自転車ファンに、日本人サイクリストの存在を十分にアピールすることのできたレースとなりました。