アマチュアレースの聖地で開催されたスペイン自転車選手権
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アマチュアレースの聖地で開催されたスペイン自転車選手権
6月25日から28日の日程で、スペインのサビニャニゴで自転車のタイムトライアルおよびロードレースのスぺイン選手権が開催されました。舞台となったサビニャニゴは連日40度近くまで気温が上がり、例年通り高い気温の中でのスペイン選手権開催となりました。
ピレネー山脈の麓で繰り広げられた、4日間の熱戦の様子をレポートします。
TOP写真:女子個人タイムトライアルの表彰台。写真右からサンドラ・アロンソ選手(個人タイムトライアル3位・ロードレース5位)、ミレイヤ・ベニート選手(個人タイムトライアル優勝・ロードレース優勝)、サラ・マルティン選手(個人タイムトライアル2位・ロードレース2位)。Photo by Yukari TSUSHIMA.
プロ選手も驚いた大逃げ、そしてママさん選手の力走 女子ロードレース
スタート直後から単独で飛び出したウルテアガ選手 Photo by Yukari TSUSHIMA
スペイン選手権のロードレースは、他のレースと比べると圧倒的に距離が長く、非常に厳しい上りが複数回設定されています。今年のスペイン選手権も、その例外ではありません。男子エリート・UCIロードレースは距離211km(上りの合計距離は+3163m)、男子アンダー23は157.7km(+2394m)、女子ジュニアは76.4km(+1231m)、男子ジュニア129.7km(+2030m)で開催されました。
大会3日目の午前中にスタートした女子のロードレースは距離129.7km(+2030m)という長丁場。午前10時のスタート時点では比較的涼しく感じられたものの、その後気温は急上昇するとの天気予報が出ていました。
そのような状況の中、レース直後からバスク人のマイテ・ウルテアガ選手(エウリン・アメナバー)が単独で飛び出しました。このレースには、女子のプロ選手も10人近く出走している中、アマチュアのウルテアガ選手は淡々と一人で逃げ続けます。当初は何事もなくウルテアガ選手の逃げはレース中の選手たちに容認されていましたが、レースが進んでも同選手のペースは落ちません。
レースの距離が100kmを超える頃、この状況を変えようと後方集団でプロの選手たちが動き始ます。ゴールまで約5kmの地点で、優勝を狙うサラ・マルティン選手とパウラ・オルティス選手(共にモビスター)、マビ・ガルシア選手(UAEチームADQ)、サンドラ・アロンソ選手(エネイカット・ビーコール)、ミレイヤ・ベニート選手(AG インシュランス・ソウダル・チーム)の5人が、ウルテアガ選手をとらえて追い抜きます。しかし、ラスト3㎞でこの5人の集団にウルテアガ選手が再度追いつき、最後は6人での優勝争いとなりました。
優勝したのは、最後の上りで一気に先頭に躍り出たベニート選手。第2位と第3位にモビスターのマルティン選手とオルティス選手が入り、プロの選手が表彰台を占めました。
優勝したベニート選手は、2日前に開催されたスペイン選手権の個人タイムトライアルでも優勝しており、2026年の女子のレースの完全制覇となりました。
娘さんとインタビューに応えるアロンソ選手 Photo by Yukari TSUSHIMA
また、このレースで第5位となったアロンソ選手は昨年末までワールドツアーチームに所属し、今年1月に女の子を出産したばかり。出産後2か月でトレーニングを再開し、今年のスペイン選手権では個人タイムトライアルで第3位、ロードレースで第5位の成績でした。
と、レース後の記者会見で話しました。お母さんになったアロンソ選手の今後の活躍が期待されます。「自分に向いているコースではなかったかもしれないけど、ロードレースもタイムトライアルも全力で走りました。非常に良い結果を残せたことに満足しています。」
ダークホースの優勝に沸いた 男子ロードレース
男子のエリート・UCIカテゴリー表彰式。優勝したカンプルビ(ピナレロ・Q36.5・プロサイクリングチーム)と第2位のニコラウ選手(カハルラル・セグロス・RGA)はともにカタルーニャ地方在住で、お互いよく知った仲。 Photo by Yukari TSUSHIMA
男子のエリート・UCIカテゴリーレースは、198人が出走するもゴールしたのが72人という、例年以上に過酷なサバイバルレースとなりました。
スタートしてからすぐに、13選手を抱えるカハルラル・セグロス・RGAと15選手を擁するモビスターが積極的にコントロールし、逃げているパブロ・トーレス選手(UAEエミレーツ)に大きなタイム差を与えないまま、レースが進みます。
レース中の選手たち Photo by Yukari TSUSHIMA
過酷なサバイバルレースを乗り越え、ゴール前の先頭集団には3人の選手が残りました。ウルコ・ベラーデ選手(エキーポ・ケルンファルマ)は、2024年のブエルタ・エスパーニャでステージ優勝の経験がある選手。ジョエル・ニコラウ選手(カハルラル・セグロス・RGA)は、最後に上りがあるゴール前を比較的得意とするタイプですが、今期は苦しいレースが続いていました。そして、マルセル・カンプルビ選手(ピナレロ・Q36.5・プロサイクリングチーム)はスプリントよりも、上りが得意なクライマータイプの選手です。
ゴール前の最後の100mから先頭にたったのは、カンプルビ選手でした。2023年にプロになってから、一見地味でも確実に経験を積み重ねてきた同選手は、この日の勝利がプロ初勝利となりました。
スペインで最も有名なアマチュアレースの舞台 サビニャニゴ
モビスターのアルカス選手(写真左)はこのサビニャニゴ出身。また、パブロ・カストリ―リョ選手(写真右)は、サビニャニゴの隣町・ハカの出身。
今回のスペイン選手権の舞台となったサビニャニゴは、ピレネー山脈の麓のアラゴン地方にある、約1万人が住む小さな村です。しかし、自転車関係者の間で、この村はとても有名な場所です。
この村では毎年6月に、スペイン国内で最も有名な自転車イベントが開催されます。その名も、ケブランタウエソス(Quebrantahuesos)。「骨も震えるレース」という名前のイベントには、今年は11500人のサイクリストが集まりました。
舞台になるのは、今回のスペイン選手権で選手が走ったピレネーの山々で、一番長いコースで200km、もう少し短いコースで85kmのコースがあります。スペイン国内はもちろん、外国からも参加者が集まり、毎年抽選で参加者が決まる大レースです。
地元出身のアルカス選手を応援するペイントがゴール前に Photo by Yukari TSUSHIMA
また、このサビニャニゴは、モビスター所属のホルヘ・アルカス選手が住む村でもあります。また、今年のスペイン選手権男子エリート・UCIカテゴリーの個人タイムトライアルで優勝したパブロ・カストリーリョ選手は、サビニャニゴの隣町・ハカの出身です。
日本では知る人の少ない小さな村のサビニャニゴですが、意外なことに、自転車界に大きな影響力を持っている村なのです。

