競泳パンパシ&アジア大会代表選手決定!今年の出場選手を一挙紹介!-後編-
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4/3〜4/8に、東京辰巳国際水泳場で、競泳日本選手権が開かれました。この大会ではこの夏に行われる、仮想東京オリンピックとも言われているパンパシフィック水泳選手権や、アジア大会の代表選手の選考会も兼ねて行われました。前回に引き続き今回もこれらの大会の代表に内定した選手の中から注目すべき選手を紹介します。
本記事では小関也朱篤選手、渡辺一平選手、古賀淳也選手、大橋悠依選手を取り上げます。
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力強い平泳ぎ 小関也朱篤選手
平泳ぎを専門とする小関選手。本大会では目標としていた50m、100m、200m平泳ぎ3冠を達成しました。さらに50m平泳ぎでは日本新記録を更新しました。
小関選手は、身長188cmと大きな体を活かした力強い泳ぎが特徴です。特に特徴的なのが、平泳ぎのストロークです。平泳ぎのストロークは、弧を描くようにかくのが一般的なのですが、小関選手のストロークは、直線的に水をかいています。キャッチの部分でしっかり水を掴み、このようなストロークをすることで、水が最後まで逃げず、力強いストロークを生み出すことができ大きく加速することができます。こうしたストロークができるのは、肩甲骨の柔らかさと上半身の強さにあります。肩甲骨が柔らかくないと肩の可動域が狭まり自由に腕を動かすことができませんが、小関選手は肩甲骨の可動域が広く、普通の選手ができないようなストロークを可能にしています。また、力強いストロークを生み出すには上半身の力強さも必要です。
小関選手は、平泳ぎが専門ですが、一時期クロールを中心に泳ぐ時期がありました。平泳ぎは唯一足の推進力が大きい泳ぎなので上半身はあまり鍛えられませんが、クロールを中心に泳いだ時期のおかげで上半身を強化し、力強いストロークを行えるようになりました。
ポスト北島と言われている小関選手の今後の活躍に期待が高まります。
世界記録保持者 渡辺一平選手
2017年1月に200m平泳ぎで世界新記録を更新した渡辺一平選手。本大会で200m平泳ぎの代表内定を獲得しました。
平泳ぎは、キック後のストリームラインの維持や足の引きつけなど様々な技術が要求される泳法ですが、渡辺選手は、これらの技術をしっかり身につけ、抵抗の少ない平泳ぎで泳ぐのが特徴です。他の選手と比べるとキック後の伸びがかなり大きく、抵抗を極力少なくし、無駄な力を使わずに泳いでいます。そのため後半に力を残すことができ、後半で一気に飛び抜けることができます。さらに身長193cmと、かなり高身長です。そのため、長い手足を活かして大きく水をかくこともできます。
ここからさらに、世界新記録を更新することができるのか。他の選手との争いにも注目ですが、記録にも大きく期待がかかります。
爆発的なスピード健在 古賀淳也選手
多くの競泳選手が20代前半という中で、古賀選手は30歳で本大会を迎えました。
古賀選手の持ち味と言えば、やはり爆発的なパワーです。50m背泳ぎではそのパワーを活かし、短い距離にもかかわらず2位の選手とほぼ1秒差をつけ、優勝し、代表内定を獲得しました。背泳ぎでは、スタート後バサロキックを打ち、15mで浮き上がるのが一般的なのですが、古賀選手は、このバサロキックもかなり上手なのです。バサロキックを終え浮き上がる時にはキックの打ち方が変わり、手をかくタイミングを合わせるために一瞬スピードが落ちるのですが、古賀選手の浮き上がりはバサロキックのスピードを殺さずに浮き上がってきます。
古賀選手の浮き上がりは、非常に独特です。普通の選手は、浮き上がりの前体の横を通るようにして手を回すのですが、古賀選手の場合は、手を回す方と反対側に体をねじり、体の上を通るようにして手を回して浮き上がってきます。こうすることで水の抵抗を最小限に抑え、バサロキックの勢いを殺さず、むしろ加速するような浮き上がりができるのです。
是非、30歳を過ぎてもまだまだ現役として活躍できるという姿を見せつけてほしいです。
フラットスイム 大橋悠依選手
400m個人メドレーでは2位と6秒差をつけ、さらに日本記録を0.6秒更新して優勝した大橋選手。200m個人メドレーでも代表内定を獲得しています。
大橋選手の泳ぎを一言で表すなら、「フラットスイム」と言えるでしょう。水泳のタイムは水の抵抗により大きく影響を受けています。抵抗が大きければ同じ力を使っていても前に進まず、すぐに疲れています。逆に抵抗が少なければ同じ力でも楽に速く泳げることができます。大橋選手は「フラットスイム」で水による抵抗を最小限に減らし、楽に速く泳ぐことができています。普通の選手の場合体の重心が浮力の作用点も下側にあるため、どうしても足が沈んでしまいます。しかし大橋選手は足が沈むことなく、水面と平行な状態で浮き続けることができるのです。
このように水面と平行に浮き続けることができるようになるまでに、大橋選手はひたすら浮き続ける練習を行ってきました。競泳の選手は心肺能力を高めるためにひたすら泳ぎこみますが、大橋選手は練習の大半を水面に浮く練習、壁を蹴ってから伸びる練習を行いました。その結果レースの最後までフラットな姿勢を維持しながら泳ぐことができるようになったのです。
水面にフラットに浮くことができるという強みを活かして世界でも活躍してほしいです。
まとめ
今回、前編後編と2記事に渡り、この夏に行われるパンパシフィック水泳選手権、アジア大会の代表内定選手を紹介してきました。競泳は、スタートからゴールまでのタイムを競うという、非常に単純な競技です。そのため誰が見てもどの選手が速いのかが一目で分かり、単純に面白いです。距離が長くなってくると選手同士の駆け引きや前半に強い選手、後半から伸びてくる選手といった特徴も抑えておけばよりレースを楽しむことができます。また、泳法は同じでも選手一人一人によって泳ぎ方の特徴は大きく異なります。それぞれの選手の泳ぎを分析しながらレースを見るとより楽しむことができます。
パンパシフィック水泳選手権は8/9〜8/12、アジア大会は8/18〜9/2で行われます。特にパンパシフィック水泳選手権は東京で行われるため、仮装東京オリンピックとも呼ばれ注目を集めています。
今回紹介した選手以外にも代表に内定している選手はいますので、是非日本競泳チームの選手を応援して大会を楽しみましょう。
INFORMATION
Pan Pacific Swimming Championships 2018
https://panpacs2018.com/jp
第18回アジア競技大会 ジャカルタ・パレンバン
http://www.tbs.co.jp/asiangames