ルートインBCリーグ2020年総括編
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今季はコロナ禍の影響で開幕が約2か月遅れたルートインBCリーグでしたが、10月27日に行われたチャンピオンシップ決勝戦にて、神奈川フューチャードリームスの優勝が決まり、今シーズンの幕が降りました。今回は総括編として西地区を中心に今シーズンを振り返ります。
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一部では鳴り物入り応援も解禁
今季の開幕は、富山GRNサンダーバーズ主催試合以外は無観客での試合開催になりました。7月10日以降、順次有観客で試合が開催されるようになりました。しかしながら、球場内ではマスクの着用に加えて大声での応援ができないなどコロナ禍が普段通りの観戦スタイルを奪っていきました。
9月になり西地区では福井ワイルドラプターズの主催試合とオセアン滋賀ブラックス主催試合の一部球場で鳴り物を使用しての応援が可能になりました。通常通りにとはいかないものの、応援風景も野球場になくてはならないものだけに、心待ちにしていたファンも多いことでしょう。
優勝チームの行方
今季は東地区、中地区、西地区の3地区制を採用、且つ一つの地区を2つのグループ(グループA~F)に分けて通期制にてリーグ戦が行われました。1地区に4球団、これを更に一つのグループに2球団という変則的な形での開催になりました。終盤になり天候不順が重なって、一部試合が消化しきれず打ち切られ、10月15日にレギュラーシーズンを終えました。各グループの優勝チームは次の通りです。
今季から新規参入した神奈川フューチャードリームスと、1年前に球団存続の危機に立たされた福井ワイルドラプターズがそれぞれグループを制しています。
今季の地区割及びグループ割は、コロナウイルスの感染拡大を受けて選手らの移動を最小限にしてリスクを少なくするという目的もありました。
しかしながら、同一グループの2球団による対戦(40試合)が中心になると、チームの相性が対戦成績に大きく表れ明暗が分かれました。実際に、栃木ゴールデンブレーブスは、茨城アストロプラネッツに32勝6敗2分け、福井ワイルドラプターズはオセアン滋賀ブラックスに31勝4敗3分けと大きく引き離しています。
優勝決定!
西地区のチャンピオンシップは10月17日に福井県営球場で開催されました。福井ワイルドラプターズは先発の濱田俊之投手、中継ぎに塩田裕一投手、抑えに高橋康二投手と勝ちパターンで継投、4‐2で富山GRNサンダーバーズを制し西地区優勝を果たしました。
また、中地区は信濃グランセローズが福島レッドホープスを12‐6で破り優勝をしています。東地区は、神奈川フューチャードリームスが栃木ゴールデンブレーブスを制して、球団創設1年目にしてチャンピオンシップの決勝ラウンドへ進出を決めました。
そして10月27日のチャンピオンシップ決勝は、神奈川フューチャードリームスと信濃グランセローズが対戦。神奈川フューチャードリームスは、北海道日本ハムファイターズなどで活躍した乾真大投手が1‐0と信濃グランセローズ打線を完封し、リーグ参入初年度優勝という新しい歴史を作りました。
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ドラフトでは指名選手も
10月26日に行われたNPBのドラフト会議では、育成指名ながらもルートインBCリーグの選手が5名指名されています。指名されたのは下記の選手らです。
古長 拓選手(福島レッドホープス) 内野手 オリックス育成6位指名
石田 駿選手(栃木ゴールデンブレーブス)投手 楽天育成1位指名
小沼 健太選手(茨城アストロプラネッツ) 投手 ロッテ育成2位指名
赤羽 由紘選手(信濃グランセローズ) 内野手 ヤクルト育成2位指名
松井 聖選手(信濃グランセローズ)捕手 ヤクルト育成3位指名
まだ入団が決まったわけではありませんが、支配下登録、そして一軍昇格を目指して活躍を期待したいですね。
西地区、期待の選手たち
高橋投手
ここでは西地区より5人の選手を紹介します。
■濱田俊之選手
福井ワイルドラプターズ 投手
福井ワイルドラプターズを代表する右腕です。同球団では4年目を迎えた27歳。今季は16試合に登板し、うち14試合に先発しています。そして10勝1敗、防御率は1.48とリーグトップです。今季の福井ワイルドラプターズはチーム防御率が2.30とリーグで最も良く、打撃力よりも投手力が秀でたチームでした。そんなチームを牽引した投手の一人です。
■高橋康二選手
福井ワイルドラプターズ 投手
福井ワイルドラプターズでもう一人投手を紹介するとすれば高橋投手です。4年前に福井工大から滋賀ユナイテッドに入団したのち、福井に移籍し2年目を迎えた25歳の右腕です。今季は30試合に登板していますが、主にクローザーとしてマウンドに上がっています。そして2勝0敗10セーブを挙げ、防御率1.37と堂々とした内容です。ルートインBCリーグに入団した4年前に比べれば大きく成長している投手だといえます。
■澤端侑選手
福井ワイルドラプターズ 内野手
ここで福井ワイルドラプターズの野手を一人紹介します。ルートインBCリーグで最も手強い先頭打者といってもいいでしょう。打率3割1厘で2本塁打の成績に加え、盗塁は32個をマークしリーグトップです。ちなみに同チームの佐藤翔選手が盗塁数31と澤端選手に次いでおり、2人で63もの盗塁数を稼いでいることになります。福井ワイルドラプターズは、澤端選手を筆頭に機動力を大いに発揮してくるため、効率よく得点を上げ勝ちパターンに持ち込むのが得意なチームです。
■テルビン・ナッシュ選手
富山GRNサンダーバーズ 内野手
来日1年目ながら、開幕直後から打撃好調で終盤まで結果を出し続けました。今季の富山GRNサンダーバーズは打撃が好調でした。打率3割8分2厘(リーグ2位)、本塁打13本(リーグ4位)、打点47(リーグ4位)、出塁率5割6厘(リーグトップ)と西地区ではナッシュ選手の右に出る選手はいません。また、これらの成績が評価され、西地区の野手部門でサトウ食品 presents 8月月間MVPに選出されています。
■金城登耶選手
オセアン滋賀部ラックス 投手
地元近江高から入団した2年目の選手です。地元出身ということもあり期待されていたものの、今季のオセアン滋賀ブラックスは打線が振るわず援護がなかったため、勝ち星に恵まれませんでした。11試合に登板し0勝9敗。防御率5.84と今一つでしたが、シーズン後半は安定したピッチングを見せていました。しかし、最終戦終了後、金城選手を含む5人の選手の任意引退が球団から発表されました。
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ドラフトで指名されNPB入りする選手がいる反面、大半の選手が全力でプレーし、どこかで区切りをつけてユニフォームを脱いでいくのが独立リーグの現実です。
金城投手