30歳以上で筋トレをこれから始めようと考えている人へのアドバイス
DO30歳以上で筋トレをこれから始めようと考えている人へのアドバイス
最近、筋トレが長生きや健康寿命を伸ばすことに効果があるという説をよく見聞きするようになりました。
CNNオンライン版が1月に掲載した記事によると、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)はすべての成人に全身の大きな筋肉を「穏やか~中程度の強度」で鍛える筋トレを週2,3回以上行うことを提唱しています。
ところが、実際にその基準を満たしているのはアメリカ人の30%程度だということです。
筋肉質であることの価値が一般的に認められているアメリカでの数字ですから、日本で筋トレを日常的に行っている人の比率はもっと低いかもしれません。
それでも、若くはない世代が筋肉を増やすために努力することが周囲からポジティブに捉えられるようになった(少なくとも揶揄や嘲笑の標的にならなくなった)ことは、個人的にはとても喜ばしい傾向だと感じています。
30代でも(あるいは40代でも50代でも)、運動をすれば体力は向上します。そこまでは筆者自身の体験から断言できます。もっと上の年代でもそうであることも数多くの学術研究が証明しています。
ただし、仕事もあれば家庭もある世代は時間も体力も無制限に運動で使い切ってしまうわけにはいきません。だからこそ、限られた時間内で効率的かつ安全に体を動かす方法が求められるわけですが、筋トレがそれに適しているとされるには理由があります。
なぜジョギングだけでは足りないのか
大人が健康のために行うスポーツと言えば、ジョギングを頭に浮かべる人は多いでしょう。2007年に始まった「東京マラソン」をきっかけとした市民マラソンのブームは一段落した感がありますが、それでもランナーの多くを中高年以上が占めている状況は相変わらずです。
しかし、こうしたマラソン・ブーム、ランニング・ブームが中高年世代に属する人たちの健康や体力を向上させているとは必ずしも断言できないようです。
10代、20代くらいの若いうちまでは、ジョギングだけを行っていても、それなりの効果はあります。体は引き締まり、ぜい肉は消え、持久力もアップします。
ところが、人は加齢に伴い、代謝率が低下します。体の自然なカロリー消費能力が低下するため、以前と同じ効果を得るためにより負荷の強い運動が必要になってきます。
さらには、加齢により、筋肉量と骨密度も自然に低下する傾向があることにも注意するべきです。 そのため、年齢が上がれば上がるほど、より積極的に筋トレに取り組む方が望ましいのです。
筋トレはダイエットやアンチエイジングにも有効
筋トレは負荷をかければかけるほど、より多くのカロリーと脂肪を燃やし、運動後の効果と代謝率を高めるのに役立ちます。
そのメカニズムを単純に表現すると、筋トレを行っている最中にメラメラと脂肪が燃え、筋トレを終えた後でも燃え続けているのです。
従って、同じ時間をトレーニングに費やすのであれば、ジョギングやゆっくりした水泳などに代表される低負荷の有酸素運動より、ある程度の負荷をかけた筋トレを行う方がダイエットには効果があります。
筋トレはダイエットに効果があるだけでありません。骨密度の上昇、血圧の安定化、睡眠の改善、認知機能の強化にも役立つと言われています。つまり、一般的に加齢による劣化とされる現象を、筋トレを行うことによって、ある程度まで食い止めることができるはずなのです。
「筋肉ムキムキ」の迷信
筋トレをすすめられると、「ムキムキにはなりたくない」という拒絶反応を示す人が依然としてかなりの数だけ存在します。とくに女性には多いようです。
ですが、女性は男性と比較してテストステロン濃度が低いため、ほとんどの女性にとって筋肉量を増加させることは非常に難しいということを知ってもらいたいと思います。
男女を問わず、「ムキムキ」と呼ばれるような体になろうと思ったら、何年もの専門的なボディービル用トレーニングが必要になります。とくに女性は男性よりさらに厳しいトレーニングを積む必要があり、普通の人には「ムキムキ」は無理なのです。
むしろ、ほとんどの筋トレは体を引き締め、体重を減らし、フィットネスレベルを向上させるために効果があります。
それでも、ベンチプレスやバーベルスクワットなどのウェイト・トレーニングに抵抗がある人はいるでしょう。もしあなたがこれまであまり運動をしてこなかったのであれば、いきなり重い重量を扱うのは危険でもあります。
筋トレとはあくまでも身体を強化し、体調を整えることが目的であって、筋トレ即ちウェイト・トレーニングではありません。
現在の体力に自信がない人、ジムに通うことに抵抗がある人は、まずは自宅でも出来る簡単なメニュー(腕立て伏せ、自重スクワットなど)から始めてみるとよいでしょう。
筋トレ最大の敵とは「飽き」である
筋トレには王道はありません。これだけはやらなくてはいけないという種目はありませんし、これだけをやっておけばよいという種目もありません。むしろ、自分の身体の反応を見ながら、定期的に種目を変えていく創意工夫が重要になります。
筋トレの効果を得るためには、常に筋肉に刺激を与え続けることが不可欠です。そのためには一定期間以上トレーニングを継続して、かつ重量や回数を少しずつでも増やしていかなければいけないのですが(漸進性過負荷の原則と呼びます)、毎日同じ単調な動きを繰り返していれば、人は必ず飽きてしまいます。
そもそも、多くの人にとって、筋トレとはそれほど面白いものでも楽しいものでもありません。「きつい」は勿論ですが、「つまらない」とか「飽きた」と思ってしまうときに筋トレをついついサボり気味になってしまうことや、悪くすると辞めてしまうことにさえなってしまいます。
学校の部活やスポーツ選手なら先生やコーチがあなたを叱咤激励してくれますが、一般の大人が筋トレを行う場合は自分で自分を鼓舞しなくてはいけません。ジムのインストラクターにその役割を期待してもいいのですが、それにはおカネがかかります。
筋トレを継続するためには、モチベーションは外部に求めず、常に自分の中で維持するべきなのです。外部からの刺激に頼るより、そちらの方がきっと長続きするはずです。
定期的にトレーニング内容を変えてみるとか、小さな目標を達成するたびに自分にご褒美を上げるとか、自分を管理するコツは筋トレ以外の分野からも転用できると思います。
まとめ
最後になりますが、筋肉に負荷をかけることと同じくらい、そこからの回復にも気を配ることをおすすめします。適切な睡眠、充分な休息、規則正しい生活リズム、健康的な食生活を送ることなしには、筋トレの効果は期待できないと知っておくべきです。筋トレとはライフスタイルなのです。