大学野球秋季リーグ 関西地区総括編

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大学野球秋季リーグ 関西地区総括編

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大学野球の各秋季リーグが終了し、優勝校が決まりました。今回は関西地区の各リーグの動向と優勝校などを紹介します。このうち2校が関西地区を代表して神宮大会(11月14日から6日間)に出場します。

関西学生野球連盟

>>関西学生野球連盟
優勝 立命館大 12季ぶり40回目

立命館大が2019年以来12季ぶりの優勝(コロナ禍で中止の2020年春季リーグは除く)を果たしました。全チームから勝ち点を奪い10勝2敗。10月20日の対同志社大2回戦で3-3の同点のまま延長に入った10回裏、坂下選手のライト越えサヨナラ二塁打で4対3、6年ぶりの優勝となりました。

今秋季リーグで首位を争ったのは近畿大ですが、終盤での立命館大の粘りもあって近畿大は優勝を逃し、勝ち点4、9勝2敗と2位に終わりました。3位は同志社大、4位は関税学院大、5位に関西大、6位には京都大という順になっています。

また、最優秀選手賞には立命館大の角井翔一朗選手(4年 智辯和歌山)、最優秀投手賞には同じく立命館大の遠藤翔海投手(4年 京都共栄学園)、首位打者の近畿大の野間翔一郎選手(4年 大阪桐蔭)が受賞しています。

去る10月23日に開かれたNPBのドラフト会議では、近畿大の勝田成選手(4年 関大北陽)が広島東洋カープから3位で、同じく近畿大の阪上翔也選手(4年 神戸国際大附)が東北楽天イーグルスから7位で指名されました。勝田選手は今秋季リーグで史上32人目となる通算100安打を達成し、また二塁手でベストナインに選出(6度目)されています。

関西学生野球連盟ではこれまでDH制は採用せず、投手が打席に入るというスタイルを通してきました。しかし、来季よりDH制が採用されることが決まっており、投手が打席に入る姿は今秋季リーグで見納めになりました。関西学生野球連盟所属の各チームの投手陣は比較的打撃センスも良くヒットを放つこともありましたが、今後は「二刀流」に挑戦する選手が現れない限り打席に入る投手は見られないことになりそうですね。

立命館大学は関西地区第二代表として神宮大会に出場します。

関西六大学野球

>>関西六大学野球
優勝 京都産業大 13季ぶり13回目

今秋季リーグでは京都産業大が優勝し、大阪商業大の連覇を7でストップさせました。京都産業大の優勝は2018年秋季以来13回目(コロナ禍で中止の2020年春季リーグは除く)です。

終盤まで京都産業大と大阪商業大、大阪学院大による激しいデッドヒートが繰り広げられました。京都産業大の優勝のかかった最終節10月12日の大阪商業大との2回戦では、京都産業大は由上投手と大阪商業大の中山投手の投げ合いで始まり3対3の同点のまま延長タイブレイクに突入。両チームとも激しいプレーが見られる中、10回裏に大阪商業大がエラーを誘い1点を奪って勝利。翌日の3回戦で京都産業大が7対0で大阪商業大を下し、優勝を掴み取りました。

京都産業大は勝ち点4、9勝4敗の優勝、2位は大阪学院大と大阪商業大が並び勝ち点3、8勝5敗、4位が龍谷大、5位が大阪経済大、6位が神戸学院大となっています。表彰選手は下記の通りです。

>>令和7年度関西六大学野球秋季リーグ戦 表彰

NPBのドラフト会議では大阪学院大のエドポロ・ケイン選手(4年 日本航空山梨)が北海道日本ハムファイターズから2位で、大阪商業大の鈴木豪太投手(4年 東洋大静岡翔洋)が福岡ソフトバンクホークスから3位でそれぞれ指名されています。

今回、筆者が取り上げたい関西六大学連盟の選手を一人あげるとすれば、大阪商業大の中山優月選手(2年 智辯学園)です。登録は内野手ですが、今秋季リーグでは「二刀流」に挑戦しています。「二刀流」といっても登板時は打席に入らず投手に専念し、降板後にセンターの守備に入り打席に立つという形です(この場合「大谷ルール」は適用されずDHは解除)。

8月31日の大阪学院大戦では6回途中まで投げて本塁打を浴び4失点で敗戦投手に。降板後は2打席に立っています。9月21日の大阪経済大戦では被安打2、10奪三振で完封勝利。10月7日の神戸学院大戦でも5回を2失点、勝ち投手になるなど防御率3.34とリーグ6位という好成績を上げています。球速も球場設置のスピードガンで140キロ台後半をマークするなど本格的なピッチングです。
今後の活躍に期待です。

阪神大学野球連盟

>>阪神大学野球連盟
優勝 大阪産業大 2季連続12回目

今春季リーグに続き大阪産業大が制しています。昨年まで天理大が8連覇を果たし、且つ、秋季リーグでも優勝争い繰り広げました (10月16日に優勝決定戦を行い延長10回タイブレイクの末に大阪産業大が4対3でサヨナラ勝ち)。

優勝の大阪産業大は8勝2敗、24ポイント、2位が天理大で同じく8勝2敗の24ポイント、3位は関西国際大が5勝5敗、4位が大阪電気通信大、5位が大阪体育大、6位が関西外国語大の順になっています。

大阪産業大の小出望那選手(4年 大産大附)が最優秀選手賞に選出されるなど表彰選手は下記の通りになっています。
>>2025秋季リーグ戦表彰選手 阪神大学野球連盟

大阪産業大は高橋克弥投手(4年 高知)が140キロ台のストレートに加え変化球も効果的に使い優勝に貢献しました。また、長友一夢投手(4年 大阪)も含め両エースの存在が大きく作用した今秋季リーグでした。高橋投手は投手でベストナインに、長友投手は最優秀投手賞に選出されています。

近畿学生野球連盟

>>近畿学生野球連盟
優勝 奈良学園大 3季連続47回目

奈良学園大が3季連続で制しましたが、ここ10年近くは大阪公立大(合併前の大阪市立大を含む)や和歌山大などを中心にリーグ全体のレベルも上昇し毎季激しい優勝争がいが行われています。

奈良学園大は9勝3敗で優勝、大阪工業大が7勝5敗で2位、3位が6勝6敗の阪南大、4位が同じく6勝6敗の和歌山大です。この2位から4位の3チームが終盤まで奈良学園大を追い上げましたが、取りこぼしもあって連覇を阻止することはできませんでした。そして5位が神戸医療未来大、6位が大阪公立大となっています。

10月3日の奈良学園大と和歌山大の試合では、奈良学園大は矢川幸司郎投手(3年 日本航空石川)、和歌山大は田中輝映投手(4年 向陽)の投げ合いで始まり、矢川投手が和歌山大打線を僅か1安打完封し4対0で勝利。この日、大阪工業大が阪南大に敗れたため奈良学園大の優勝が決まりました。

矢川投手は防御率トップの0.80という好成績を残しています。

京滋大学野球連盟

>>京滋大学野球連盟
優勝 佛教大 5季連続64回目

今秋季リーグでも圧倒的な強さで連覇を達成した佛教大。10勝0敗と完全優勝です。2位が花園大で6勝5敗、3位が京都先端科学大の5勝6敗、4位が大谷大、5位がびわこ成蹊スポーツ大、6位が明治国際医療大の順になっています。

表彰選手には、佛教大の赤木晴哉投手(4年 天理)が最優秀選手に、同じく佛教大の合木凛太郎選手(4年 高田商)が最優秀投手に、敢闘賞には花園大の廣部嵩典選手(4年 県立岐阜商)が、首位打者には佛教大の森本英耀選手(2年 京都文教)、新人賞には京都先端科学大の藤本毅郎選手(2年 高川学園)、特別賞及びベストナインの投手に佛教大の野村亮輔投手(3年 綾羽)が選出されています。佛教大の野村投手は10月15日の花園大戦で先発し7対0で完封し、13奪三振を記録するなど今後が期待されます。

NPBドラフト会議では、花園大の藤原聡大投手(4年 水口)が東北楽天イーグルスから1位で、佛教大の赤木投手が広島東洋カープに5位で指名されました。両投手はそれぞれのチームのエースとして秋季リーグでも十分過ぎる働きをしています。

9月14日の守山市民球場での花園大対びわこ成蹊スポーツ大の試合で藤原投手は先発し延長10回まで投げ3対2と完投勝利しました(10回はタイブレイクで2失点)。この試合では2安打13奪三振と素晴らしいピッチングでしたが、球場のスピードガンでは150キロ台の球速を連発。最速157キロを記録しています(この数値は若干出過ぎでは?:筆者の感想)。

一方、同じ日の佛教大対明治国際医療大の試合では佛教大の赤木投手が先発し6イニング投げ4失点するも勝利投手になっています。変化球を織り交ぜながら150キロ近いストレートを投げ、最速151キロを記録しています。佛教大の選手としてはソフトバンクホークスの木村光投手以来、花園大からの指名は初になります。両選手の今後の活躍が期待されます。

佛教大は関西地区第一代表として神宮大会に出場します。