全フットサル指導者必見!スペインリーグ公式サイトのトレーニング&戦術ガイド
DO全フットサル指導者必見!スペインリーグ公式サイトのトレーニング&戦術ガイド
写真はリーグ公式サイトより
フットサルコーチの最も切実な悩みの1つ。それは情報が少ないことでしょう。
指導しているチームの競争力や受け持っている選手のレベルを上げたい。しかし、どういった戦術があるのか、どういった技術が必要か。それらを身に付けるためにはどういったトレーニングをするべきなのか。
サッカーやバスケットボールなどと比べればまだ競技としての歴史が浅くて規模も小さいフットサルですが、とかくこの日本ではFリーグも海外リーグもテレビ放送されておらず、また戦術やトレーニングの理論を学ぶためのJFA(日本サッカー協会)主催の講習会や教材になり得る解説本なども少ないです。
ですので、市井のフットサル指導者は例え指導者のライセンスを取得したとしても、その後は非常に限られた情報しか得ることができず、最先端の理論を学ぶことができていない。残念ながら、それが現状です。
ただ海外では、戦術、トレーニング、フィジカル、チームマネージメントといったフットサルのコーチに必要な専門的な情報がオープンに公開され、指導者ライセンスを持っている指導者たちの間で共有されていることが珍しくありません。
その最たる例がフットサルW杯で優勝2回、準優勝3回の実績を持つ世界屈指の強豪国スペインです。
97年という非常に早い段階から国内の指導者ライセンス制度の発行を開始したスペインですが、98年にはANEFS(スペインフットサル指導者協会)という組織も誕生。プロ監督の講習会や指導者同士で意見交換をする機会などを多く設け、プロとアマチュアの垣根を越えて情報を共有することで国内の指導者たちのレベルを底上げしています。
リーグ公式サイト内の無料TR&戦術ガイドページ
写真はリーグ公式サイトZONA TÉCNICAより
そして今年の春、スペインフットサル界は新たな指導者向けのサービスをスタートさせました。LNFS(スペインフットサルリーグ)の公式サイト上でプロ監督による練習メニューや戦術のガイドを見られる無料ページを立ち上げたのです。
「ZONA TÉCNICA(ソナ・テクニカ)」と命名されたこのページは、“Ejercicios Técnico-Táctic(テクニック-戦術トレーニング)”、“Ejercicios Preparación Física(フィジカルトレーニング)”、“Ejercicios Estrategia(サインプレー) ”、“Artículos(コラム)”の4項目に分かれていて、それぞれの項目でスペインフットサルの最上級ライセンスに当たるレベル3を取得している指導者たちがトレーニングメニューやサインプレーのパターンを紹介。
その中には、日本フットサル代表のミゲル・ロドリゴ監督やベトナム代表のブルーノ・ガルシア監督といったナショナルチームを率いている監督たちが提案する練習メニューや戦術パターンも含まれています。
ミゲル・ロドリゴも練習メニューを紹介
写真はリーグ公式サイトZONA TÉCNICAより
ミゲル・ロドリゴ監督は“Ejercicios Técnico-Táctic”のページ内で「数的優位かつ相手に予測させない攻撃のフィニッシュ」というテーマを担当。それぞれ特別なルールが付いた4対4+2GK、5対5+2GKといったトレーニングメニューを紹介しています。
豊富なサインプレーのガイドも掲載
写真はリーグ公式サイトZONA TÉCNICAより
また“Ejercicios Estrategia(サインプレー) ”のページでは、スペイン3部リーグのトレドの監督であるアンドレウ・リナーレス氏や2部Bリーグのトレホンで第2監督を務めているアントニオ・バジェ氏がコーナーキックやキックイン、プレス回避におけるサインプレーのバリエーションを紹介。文章だけでなくイラストやアニメーションを多用してくれているので、理解しやすい内容になっています。
近い将来、日本でも是非同じような試みを
写真はリーグ公式サイトZONA TÉCNICAより
スペイン語表記のみのこのページですが、全てのフットサル指導者必見の内容であることは間違いありません。
フィジカルトレーニングやコラムのページは理論的な事に関する文章が多いので難しいでしょうが、上記で紹介した練習メニューやサインプレーのガイドに関してはイラストや動画が多用されていて、説明も箇条書きになっていることが多いので、サッカーやフットサルの知識がある人であれば、翻訳ソフトを使えば十分に理解できるだろうと思います。
代表監督の練習メニューなど、普通は中々知ることはできません。それを堂々とリーグの公式HPで公開してしまうスペインフットサル界のオープンな姿勢にはとにかく頭が下がるばかりです。
トレーニングメニューやセットプレーのパターンを学ぶ機会が限られている日本のフットサルコーチの皆さんは、残り少なくなってきた夏の宿題として、気になったテーマを翻訳して自らの指導に活かしてみてはいかがでしょうか。
またスペインがこれだけやっているのです。代表チームやFリーグの監督、あるいはフィジカルコーチの戦術やトレーニング理論がもっとオープンになり、日本中の指導者の間で共有される。そんな環境が近い将来日本でも生まれることを強く望むばかりです。
INFORMATION
■LNFS 『ZONA TÉCNICA』(スペインフットサルリーグ公式HP内「ZONA TÉCNICA」)
URL:http://www.lnfs.es/zona-tecnica