ドイツの若手監督に密着したドキュメンタリー映画『Trainer!』が面白い!

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ドイツの若手監督に密着したドキュメンタリー映画『Trainer!』が面白い!

スポーティ

監督という職業とそれを取り巻く現状が分かる映画

少し前までサッカーの監督と言えば、サー・アレックス・ファーガソンやファビオ・カペッロ、フース・ヒディンクなど60代の監督が中心でしたが、最近は若手監督の活躍が目立ちます。ジョゼップ・グアルディオラやアントニオ・コンテ、ユルゲン・クロップは40代の監督ですし、レアル率いるジネディーヌ・ジダンもまだ44歳です。

2013年 監督:アリョーシャ―・ポーズ

監督の若年化が進む中、特にドイツリーグでは若い監督を積極的に起用する傾向があります。現在ブンデスリーガには60歳を超えた監督は1人もおらず、50代の監督も最年長カルロ・アンチェロッティ(57)を含めても4人しかいません(2017年2月時点)。ホッフェンハイムの監督、ユリアン・ナーゲルスマンに至っては29歳の若さというから驚きです。

ドイツサッカーのスタンダードとも言える若手監督たち。彼らは一体どのような環境に置かれ、どのような仕事をしているのでしょうか。その様子を垣間見ることができるのが2013年に公開されたドイツ映画『Trainer!』です。3人の若手監督に約1年もの間密着したドキュメンタリー映画で、サッカー大国で監督を務めるとはどういうことなのか、その一端をうかがうことのできる作品になっています。

昨シーズン、ボルシアMGを復活させた監督が登場

今回映画内で密着されているのは、1.FCハイデンハイムのフランク・シュミット、FCザンクトパウリのアンドレ・シューベルト、SCパーダーボルン07のステファン・シュミットの3人(映画は2012/13シーズンを中心とした内容)。ドイツ国内の映画ということもあり、映画内では彼らの経歴についてはほとんど紹介されません。そこで今回は、彼らがどんな人物なのか見ていきたいと思います。

まずは、シューベルト監督から。ブンデスリーガをチェックしている人ならこの名前を知っているのではないでしょうか。シューベルト監督は、去年までボルシアMGでチームを指揮していた監督です。

2015年、同クラブのU-23を率いていたシューベルト監督は、トップチームが開幕5連敗を喫したところで暫定監督に就任。するとその後チームは6連勝を飾り、正式にトップチームを指揮することになります。シューベルト監督のチームは、その後も勝ちを積み重ね、最下位だったチームを4位にまで引き上げることに成功しています。

アンドレ・シューベルト監督

監督としての資質にプロでの経験は関係ない

映画内で、彼はこのように述べています。

この発言から分かるように、現役時代のシューベルト監督はプロ選手として活躍することはできず、キャリアハイとなる4部のクラブで選手生活を終えています。監督としてのキャリアはSCパーダーボルン07から始まり、映画内のFCザンクトパウリは彼が率いた2つ目のクラブ。CL出場まで上り詰めることになるシューベルト監督が監督業をどのように捉え、どのような方法でアプローチしていたのかは是非映画で確かめてみてください。

一方、SCパーダーボルン07のステファン・シュミット監督も選手時代アマチュアリーグでプレーしていました。映画内でSCパーダーボルン07を指揮した後は、ブンデスリーガ2部のエネルギーコットブスの監督に就任します。しかし、ここでは思うような成績を出せず、わずか9試合(1分8敗)で解任の憂き目に。現在は、シャルケ04でU-17のコーチを務めているそうです。

実はステファン・シュミット監督の2人前にSCパーダーボルン07を率いたのが前述のシューベルト監督。

クロップ監督に似た特徴を持つフランク・シュミット

映画内で一番の活躍を見せた監督が、このフランク・シュミットです。選手としては1992年から2007年までの間、1. FCニュルンベルクを始めいくつのクラブでプレーしています。

映画の冒頭でも触れられていますが、彼のキャリア終盤は一般企業で働きながらプレーしていたそうです。その経験からか、映画内でも随所に選手の扱いの上手さが感じられます。きっと選手のモチベーションを上げることに長けた監督なのでしょう。彼の指導を受けた選手も「ユルゲン・クロップと似ているため、絶対に成功するだろう」と評しており、彼の手腕に太鼓判を押しています。


映画のワンシーンより。激昂するフランク・シュミット監督。

実際に、シュミット監督は現在まで成果を出し続けており、未だに解任されることなく1. FCハイデンハイムの監督として指揮を執り続けています。彼が指揮してから今年で11年目を迎えますが、その間チームは4部から2部へと昇格。今シーズンは自動昇格圏と勝ち点4差の5位につけており、来年はドイツ1部ブンデスリーガで戦う姿が見られるかもしれません。まだ映画を観ていない人は今のうちにどのような監督なのかチェックしておきましょう。


映画内では3人の若手監督の他にもユルゲン・クロップや、長谷部誠や乾貴士、酒井高徳などを指導したアルミン・フェーら有名な監督も登場し、監督とはどうあるべきか、監督を取り巻くサッカー界の現状などを語っています。

ドイツサッカーのリアルな現場を見ることができる映画『Trainer!』は、Netflixで視聴できる他、現在横浜で開催中のヨコハマ・フットボール映画祭2017でも放映中。サッカーファンには間違い無くオススメできます!

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