空手美女 川崎衣美子さんに聞く、空手の魅力とは
WATCH空手美女 川崎衣美子さんに聞く、空手の魅力とは
2020年の東京オリンピックで追加種目として採用された空手。組手競技と形競技の2つの競技が行われます。
直接相手に攻撃を行う組手競技に比べて、形競技はルールや見どころがわからない、という人も多いはずです。全日本大学空手選手権で優勝という実績と、小柄で可愛らしい見た目から空手界で大人気の川崎衣美子さんに、空手の魅力について聞いてみました。
2度の壁を乗り越えて辿り着いた、空手道
川崎さんは、3歳年上のお兄さんの後を追いかけるように、3歳から空手を始めました。空手が身近な環境だったため、自然に空手を始めた川崎さんですが、過去に2度空手をやめたい、と思った時期があるそうです。最初は小学生、中学生の頃。放課後も空手の練習で友達と遊ぶ時間が取れず、練習に行きたくない時期がありましたが、空手の楽しさを見出し乗り越えることができました。2回目は高校3年生の頃、川崎さんがテレビで取り上げてもらう機会が増えた時期です。
空手は硬派なイメージが強く、メディアで取り上げられることがあまり多くありません。私は空手の面白さを少しでも知ってもらいたいと思い、テレビに出ていましたが、「そんな時間があったら練習をしろ」、「調子にのっている」と試合中にヤジを言われたり、空手の関係者から面と向かって言われることもありました。空手は人から評価される競技なので、その時は人前で空手をすることが怖かったです。
思い悩むことも多くありましたが、自分の中で割り切り、空手に集中しようと決めた川崎さん。高校卒業後は名門国士舘大学の空手道に入部し、全日本空手道選手権大会で2013年から2015年まで優勝、という華々しい結果を残します。
空手を始めたころの川崎さんと兄弟
空手の四大流派
空手には蹴りや突きを相手に当てないノンコンタクトと、直接相手を打撃するフルコンタクトの2種類あります。オリンピックで採用されたのは、ノンコンタクト。その中で相手と向かい合って寸止めで試合を行う組手競技と、相手と向かい合わないで決められた形を披露する形競技の2種目が行われます。
形競技は、四大流派と呼ばれる剛柔流、糸東(しとう)流、松濤館流、和道流の中の約75種類の形から選択をします。それぞれの流派で立ち方や動作など基本の動きが異なるため、どれか一つの流派を基本として学んだ上で、試合に使えるように他の流派の形も練習をしておく選手が多いようです。
川崎さんが得意とする糸東流は、突きやケリ技、投げや逆技など、総合武道の色が強い実践的な流派です。剛柔流は護身を主とし、払いや受けなどの守りの動作が重要となります。松濤館流は力強く、荒々しいのが特徴です。和道流は、遠い距離から直線的に打ち込んでいく型が綺麗ですが、レパートリーが少ないため、試合で使う選手は殆どいないそうです。
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相手との駆け引きが命運を分ける、空手のトーナメント戦
空手は、トーナメントの中で毎試合、違う形を披露しなければいけないというルールがあります。各試合前に披露する形をオーダーで提出するため、自分の得意な技をトーナメントのどこでぶつけるか、相手の選手のデータを見ながら考える駆け引きが大事だと言います。
試合で当たる選手が自分より格下でも、相手が一番得意な形をぶつけてきて、逆に私が次の試合を考えて得意技を出さないと、負けることも十分にありえます。読みが外れてうわーっとなることも(笑)。特に海外の試合では選手数が多く、データも少ないので、相手の出方を読むのは難しいです。
この様な駆け引きがあるため、空手はトーナメント全体を俯瞰した試合プランを考える必要があります。
空手はフィギュアスケートの様に、審判のジャッジで得点が決まるスポーツで、採点されるポイントは、表現力、スピード、正確さの3点です。表現力とは、単純に技を披露するのではなく、実際に相手の姿を想定した動きができているかがポイントになります。
私の強みは、技のキレと表現力です。この2つは沢山練習してきたので、誰にも負けません。
練習方法は、1個1個の技を自分の中で完全に修得してから、次の技を練習する、というように進めています。私が持っている形のストックは10個くらいで、大会前は、次の大会で使う5、6個位の形を集中的に練習します。
選手の個性溢れる型に注目
3年後に控えた東京オリンピックに向けて、空手観戦を楽しむポイントを聞いてみました。
同じ形でも選手によって全く違うので、見比べると面白いです。スピードを売りにしている選手、表現力を売りにしている選手…。間のとり方も異なるので、技を知らない人でも楽しめるはずです。
今後の目標については、
と語る川崎さん。東京オリンピックについてはまだ考え中ですが、空手の普及にも興味があります。空手はまだまだとっつきにくいイメージなので、みんなが親しみやすいものにしていきたいです。武道の中では一番安全なので、空手がダイエットや健康のために、女性が楽しめるようなスポーツにすることが夢です。
東京オリンピックでの競技としての空手はもちろん、今後エクササイズなど新しい分野での空手にも注目です。
INFORMATION
川崎衣美子
1993年7月10日生まれ、静岡県島田市出身。
3歳から空手を始め、全国中学生空手道選手権で優勝。
群馬県高崎商科大学付属高校時代には、アジアジュニア&カデット優勝、プレミアリーグ(オープン戦)3位という成績を残す。高校卒業後、国士館大学に進学。全日本空手道剛柔会全国大会女子型の部で2013年から3年連続優勝する。