もう一つの高校野球 軟式大会

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もう一つの高校野球 軟式大会

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高校野球には、硬式と軟式の2つの大会があります。夏の高校野球、所謂甲子園大会は大阪桐蔭の春夏連覇で幕を閉じましたが、8月24日、兵庫県明石市の明石トーカロ球場で第63回全国高校軟式野球大会が開幕しました。

今回は、8月下旬に開かれた軟式高校野球の全国大会を紹介します。

投手戦が多い軟式大会

出場校は、北は北海道代表の登別明日から南は南部九州・熊本代表の開新まで全国16地区の代表校です。このうち、単独の出場校を出す都道府県は北海道、東京、大阪、兵庫の4つです。

今大会には、能代(北東北・秋田代表 2年ぶり18回目)、仙台商(南東北・宮城 5年連続16回目)、作新学園(北関東・栃木代表 2年ぶり30回目)、中京学院大中京(東海・岐阜代表)、天理(近畿・奈良代表 3年連続16回目)、松山商(四国・愛媛代表 11年ぶり25回目)のような全国大会常連校も出場しています。

また、広島新庄(西中国・広島代表)、筑陽学園(北部九州・福岡代表)が初出場を果たしています。

高校野球と一言でいえば硬式の甲子園大会を連想しますが、軟式の大会も日本高野連主催で行われているのです。全国大会は現在、明石トーカロ球場をメイン会場にウインク球場(姫路球場)がサブ会場として使用されますが、1980年までは大阪の藤井寺球場とPⅬ学園グランドで開催されていました。1981年から明石球場をメインに開催されています(2015年までサブ会場は高砂市営球場でした)。

中京学院大中京が2連覇を達成!

決勝戦は8月29日、河南(大阪代表)と中京学院大中京(東海・岐阜代表)の対戦となりました。中京学院大中京は全国大会常連校で、昨年の優勝校です。これに対して、河南は2年連続4回目の出場、決勝戦まで勝ち上がるのは初めてのこと、勝てばもちろん初優勝です。一塁側、三塁側には両行のブラスバンドやチアガールによる応援団による応援が繰り広げられています。軟式の全国大会でも各校の応援団が応援を行いますが、決して甲子園大会には負けてはいません。


中京学院大中京 佐伯投手

試合は中京学院大中京の佐伯奨哉(3年)、河南の山岸翔真(2年)の両投手による投げ合いで始まりました。佐伯投手はストレートで押してくるタイプの投手。140キロ台は出ているのではないかと思えます。これに対して山岸投手は変化球でかわすタイプです。

軟式は、硬式のようにボールが飛ばないため投手戦になりがちです。ボールを上手く捉える技術も硬式以上に必要ですし、たたきつけるようなバッティング技術も必要です。決勝戦も投手戦となりました。中京学院中京は、走者を出すもののなかなか得点に結びつきません。ホームベースまであと一点のところで得点を阻まれていましたが、8回にヒットや四球、失策なども重なり3点をあげ、これが決勝点になりました。

これに対し佐伯はストレート主体でどんどん打ち取っていきます。河南打線は振り遅れている感もあり、終わってみれば2安打で無四球、11三振を喫しました。後半になっても140キロ台はあろうかと思われるストレートに球威は充分ありました。


校歌斉唱 中京学院大中京

試合は3‐0で中京学院大中京が昨年に続き今年も優勝し2連覇を達成しました。

中京学院大中京の佐伯は、1回戦の井原戦を6‐0で、2回戦の慶応戦を5‐0で、準決勝の天理戦を4‐0、そして決勝を3‐0と全て完封で勝ち上がりました。軟式は安打が出にくいですし得点も入りにくいとはいえ、全試合完封で且つ優勝できる実力派の投手は貴重な存在です。硬式へ転向しても通用するのではないかと思われます。

高校時代、軟式野球出身の投手として、四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズに在籍する石田哲也選手がいます。

データから見る高校野球

高校野球の部員数に関する今年度のデータがあります(日本高野連調査)。

●平成30年度加盟校部員数調査について
http://www.jhbf.or.jp/topics/detail/321
●部員数統計・硬式
http://www.jhbf.or.jp/data/statistical/index_koushiki.html
●平成30年(2018年)度加盟校部員数・軟式
http://www.jhbf.or.jp/data/statistical/nanshiki/2018.html
●部員数統計・軟式
http://www.jhbf.or.jp/data/statistical/index_nanshiki.html

加盟校、部員数ともに硬式に比べると軟式は少ないことが分かります。軟式の加盟校がない県に山梨、石川、佐賀、宮崎、沖縄の4県があります。1983年に比べて35年の間に加盟校は約6割に、部員数も5割近くまでに落ち込んでいます。もちろん少子化の影響もありますし、「野球をやるなら硬式で」という部員もいるでしょう。しかし、野球離れが進んでいるのではないかとみることもできます。

軟式は、引退、卒業後も硬式に比べれば比較的プレーしやすいという利点があります。「硬式は不可だが軟式なら可」というグランドも各地には多いのではないでしょうか。プレーするのに硬式より軟式は敷居が低いはずですが、野球(硬式、軟式双方を加えた)全体の競技人口が高校野球レベルでも進んでいることを日本高野連の調査した資料が示しているといえます。

現在、日本高野連は春夏の甲子園大会でバックネット裏にドリームシートを設け、小中学生による野球チームの選手を招待する制度を始めています。このような取り組みが野球離れに歯止めをかける契機になればと期待されます。


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