スペインのチームに移籍した萩原麻由子選手に注目!スペイン自転車レースカレンダー2019年版・女子ロードレース編
WATCHスペインのチームに移籍した萩原麻由子選手に注目!スペイン自転車レースカレンダー2019年版・女子ロードレース編
この記事では、前回に引き続き、スペインのエリート・クラスの自転車ロードレースのカレンダーを分析します。今回は女子のレースがテーマです。男子のレースと比べると、女子のレースは数は少ないですが、有力選手が集まるレースが多いのが特徴です。
また、今年は萩原麻由子選手がスペインのエネイカット・サイクリング・チーム(Eneicat Cycling Team)に移籍し、このチームでレースを走ることになりました。記事の後半で萩原選手と彼女のチームの監督から日本のファンに向けたメッセージもお届け。
Top 写真: Photo by Yukari TSUSHIMA
スペインの女子ロードレース・カレンダー
Photo by Yukari TSUSHIMA
2月10日 | ブエルタ・コムニタット・バレンシアナ・フェミナ |
2月21日~2月24日 | セマナ・シクリスタ・バレンシアナ |
5月14日 | ドゥランゴ・ドゥランゴ・エマクメーン |
5月16日~19日 | ブエルタ・ブルゴス・フエミナ |
5月22日~25日 | WWTエマクメン・ビラ |
8月3日 | ドノスティア・サンセバスチャン・クラシコア |
9月14日~9月15日 | WNTマドリード・ チャレンジ・バイ・ラ・ブエルタ |
*出典:https://www.uci.org/road/calendarより筆者翻訳
スペインでは、女子のロードレースのシーズンも、バレンシアでのレースから始まります。「ブエルタ・コムニタット・バレンシアナ・フェミナ」は、バレンシア市役所前をゴール地点とする距離約88㎞の1Dayレース。このレースは男子の5日間のレースである、ブエルタ・コムニタット・バレンシアーナ(Vuelta a Comunitat Valenciana)の最終ステージと同じ日に開催されます。
その2週間後、再度バレンシアに選手たちが集合します。「セマナ・シクリスタ・バレンシアナ」は今年で3度目の開催を迎える、4日間のステージレースです。このレース自体はクライマー向きのもの。特に山岳の目玉となるのが、チョレット・デ・カティ(Xorret de Catí)という峠です。この場所は全長4㎞で平均斜度は11.6%。加えて斜度22%の登りが中盤以降4カ所も現れるという、バレンシア屈指の山岳コースなのです。この登りゴールを優勝した選手が、総合優勝に最も近づくことになります。
5月はスペインでの女子ロードレースが最も盛り上がる月です。まず、5月14日にバスク地方で「ドゥランゴ・ドゥランゴ・エマクメーン」という1DAYレースが開催されます。2001年から開催されるこのレースの距離は110km 前後。レース後半に5.6㎞・平均斜度5%の登りを2度も超えるレースです。
その2日後、レースの舞台はブルゴスへと移動します。「ブエルタ・ブルゴス・フェミナ」は4日間のレース。強風で有名なブルゴスですが、実はこの土地、5月でも日によってかなり寒いことがあります。加えて、このレースの主な舞台は山岳。選手たちにとって、厳しい環境の中でのレースとなります。
そして、スペインで最も重要な女子ロードレースが、そのあとに開催される*¹「WWTエマクメン・ビラ」。1988年にこのレースが始まった当初はアマチュア選手が参加するレースでしたが、2004年からプロのレースへと変更されました。バスク地方の山間部を舞台とするこのレースの主役となるのは、もちろんクライマーたち。
今年はビルバオ市内にスタート・ゴールに設定されているステージがあるとの情報もあります 。自転車ファンの多いこの地でのレースは、盛り上がることは間違いないでしょう。
5月のレースが終わると、次の女子のエリートクラスのロードレースは、8月まで待たなくてはなりません。8月3日の「ドノスティア・サンセバスチャン・クラシコア」は、男子のレースの「クラシカ・サンセバスチャン」と同じ日に、同じコースで開催されるレースです。今年が第1回目の開催になります。
Photo by Yukari TSUSHIMA
そして、9月の「WNTマドリード・ チャレンジ・バイ・ラ・ブエルタ」はマドリードが舞台。昨年のこのレースでは、初日はチームタイムトライアル、2日目はマドリード市内の周回コースのレースでした。昨年同様、今年も2日目はブエルタ・エスパ―ニャの最終日の名物である、プラド美術館前のサーキットコースを使用したレースです。
萩原麻由子選手とエネイカット・サイクリング・チーム
*2015年に、萩原選手がジロ・デ・イタリア・フェミニーナでステージ優勝したときの映像。
今年、スペインに誕生した女子のプロの自転車レースチームの一つが、今回ご紹介するエネイカット・サイクリング・チームです。
このチームは、スペインでかつてプロのサイクリストとして活躍したエネリツ・イツリアガ(Eneritz Iturriaga)氏と彼女のパートナ―のウンベルト・ゴメス(Humberto Gómez)氏、そして現役の自転車選手でアスタナ・プロ・チーム所属のダリオ・カタルド(Dario Cataldo)選手の3人が中心となり、設立されました。チームの拠点は、スペイン北部のレオンという街です。
このチームへの萩原麻由子選手の加入が発表されたのは、昨年末のことでした。2015年のジロ・デ・イタリア・フェミニーナ(Giro de Italia Feminina)でステージ優勝の経験もある萩原選手。彼女のこのチームへの移籍のニュースは、地元スペインのマスコミにも取り上げられるほどの注目を集めました。
萩原選手はすでにヨーロッパで6年間プロ選手として活動しており、スペインでのレースにも出走経験がありあります。また、クライマーであるため、山岳の多いスペインのレースでは活躍が期待されています。
今回、スペインでの新たな挑戦を控えた萩原選手から、日本の皆さんへメッセージをいただきました。
こんにちは、自転車女子ロードレーサーの萩原麻由子です。今シーズンからスペインの女子プロチーム「ENEICAT CYCLING TEAM」の選手として、レースを走る事になりました。昨年9月に発生した練習中の交通事故による怪我のため、私のチームへの合流は遅れています。しかし、現在チームは、2月10日にバレンシアで開催されるシーズン初戦へ向けて合宿中です。この度、レオンという街の大きなサポートを頂き、私たちのチームは活動を始めることができました。ですので、私たちの活動の結果で、レオンの街を盛り上げていけたらと思っています。 私自身スペインには以前レースで来たことはあるもの、一定期間滞在するのは今回が初めての経験になります。是非ともこの機会に、スペインの文化や言葉にも沢山触れていきたいと思っています。
これからの私達ENEICAT CYCLING TEAMへ、みなさんのご声援をどうかよろしくお願いいたします!
ちなみに萩原選手のチームメートの中には、昨年までチーム右京に所属していたオスカー・プジョル氏の妹のアナ・プジョル(Ana Pujol) 選手や、ロードだけでなくトラックでも活躍しているバスク人サイクリストのジオルザ・イサシ(Ziortza Isasi)選手など、実力派がそろっています。
また、エネイカット・サイクリング・チームのゼネラルマネージャーのウンベルト氏からも、日本の自転車ファンへメッセージをいただいています。
まず最初に、エネイカット・サイクリング・チームの選手とスタッフ全員から、日本のロードレースのファンの方々に、「はじめまして」のご挨拶をさせていただきます。今年私たちは、日本のトップ選手である萩原麻由子選手と一緒に、様々なレースを戦っていきます。どうか日本からも応援よろしくお願いいたします。
今年はチーム数も、そしてレースの数も大幅に増えたスペインの女子ロードレース界。日本からも、是非ご注目下さい。
INFORMATION
萩原麻由子選手公式WEB:http://mayuko86.com/
萩原麻由子選手公式FACEBOOKページ:https://www.facebook.com/mayukohagiwara.FP/
Eneicat UCI women’s cycling team 公式FACEBOOKページ(主にスペイン語):https://www.facebook.com/Eneicat-UCI-womens-cycling-team–2237114653198843/