次の世代のサイクリストのために。チーム・フェルナンド・バルセロ・プロジェクト
WATCH次の世代のサイクリストのために。チーム・フェルナンド・バルセロ・プロジェクト
毎年、数多くの有力選手を輩出するスペイン自転車界。その原動力の一つが、現役選手が様々な形で自転車選手の育成に関係していることが挙げられます。
そうしたケースの一つの例として、今回の記事では、コフィディス(Cofidis, Solutions Crédits)所属のフェルナンド・バルセロ(Fernando Barceló) 選手がバックアップする、チーム・フェルナンド・バルセロ・プロジェクト(Team Fernando Barceló Project)についてレポートします。
TOP写真:バックアップする自転車チームのラ・トバ・アセソリア・アルモデバルの選手とトレーニングするバルセロ選手。Photo by Equipo La Tova – Asesoría Almudevar
ヨーロッパのトップクラスで通用する選手を育てるチームに
Photo by Equipo La Tova – Asesoría Almudevar
今回、チーム・フェルナンド・バルセロ・プロジェクトについて、インタビューに応えてくれたのは、アンダー23の自転車チームのエキーポ・ラ・トバ・アセソリア・アルモデバル(Equipo La Tova – Asesoría Almudevar)の監督である、アドリアン・バルセロ(Adrián Barceló)監督です。ちなみにアドリアン・バルセロ監督はフェルナンド・バルセロ選手のお兄さんです。
ーーまず最初に、「チーム・フェルナンド・バルセロ・プロジェクト」とは何か説明していただけますか。
舞台になるのは、エキーポ・ラ・トバ・アセソリア・アルモデバルという自転車チームです。このチームと、フェルナンド・バルセロ選手の関係を強くすることで、若いサイクリストの育成を図ると同時に、スペインをはじめとするヨーロッパにこのチームの活動を発信していこう、というプロジェクトです。ラ・トバ・アセソリア・アルモデバルはスペインのアラゴン地方のウエスカを本拠地とする、アンダー23及びエリートのチームです。今年で創立5年目となります。
ーー「チーム・フェルナンド・バルセロ・プロジェクト」の目的は何でしょうか。
このプロジェクトでは、ヨーロッパのトップレベルで走ることができる選手の育成することが、最大の目的になります。男子サイクリストはもちろん、女子のサイクリストの育成も、このプロジェクトの目的の一つです。
また、チームの活躍の場をスペイン国内だけではなく、ヨーロッパ全体、できればアジアなどにもひろげたいと思っています。そうすることで、サイクリストが様々な場所で走る経験を得ることができますから。
ーーここ数年、アラゴン地方からはヨーロッパのトップレベルで走る、若いサイクリストが4人も出てきています。また、今年のブエルタ・エスパーニャでも、アラゴン地方のステージが3ステージありますよね。そうした、アラゴン地方の自転車界において、「チーム・フェルナンド・バルセロ・プロジェクト」はどのような意味を持っているのでしょうか。
このプロジェクトにウエスカ出身のバルセロ選手が深く関係しているということで、アラゴンの自転車関係者からもかなり注目していただいています。
実は5年前にチームが発足した当時、アラゴン地方にはアンダー23の自転車チームが一つもなかったんです。でも、今はいくつかこの地方で自転車チームがあります。もちろん、自分たちもまだ若いチームなのでこれからどんどん進化していく必要がありますが、同時にこの地方にライバルとなるチームが増えるのは、やはり選手にとってもよいことなんですね。そういった意味でも、このプロジェクトが他のチームにもよい刺激になって、アラゴン地方の自転車界が盛り上がれば、このプロジェクトをやった価値があると、僕は思います。
ーー「チーム・フェルナンド・バルセロ・プロジェクト」を発表した今年の活動は、昨年までのものとは違うものになりそうですか?
既にいくつか変化は出てます。まず、今年から女子のチームを作りました。何しろ1年目のチームなので、いろいろ新しく学ぶことがあって大変ですが、女子サイクリストの育成にも力を入れる予定です。
男子のチームでいえば、今年はフランスで5レース、ポーランドで2レースを走る予定です。昨年スペイン国外でこのチームが走ったのは、フランスの3レースだけだったんですね。スペイン以外の国にレースに行くのはいろいろ大変なこともあるんですが、それでもヨーロッパ全体の中で選手たちが走る機会を見つけられるのは、非常に恵まれているといってもよいと思います。
ーー自転車ロードレースシーズンがスタートした直後から、コロナウイルスによる影響でレースのキャンセルや延期が続いています。プロジェクトにもかなりの影響が出るのではないでしょうか。
7月いっぱいまではレースができませんからね。今は、選手やスタッフ一人一人が、1日1日を乗り切っていくことで、レースの再開を待つことが最善の策ですから。
フェルナンド・バルセロ選手の今
Photo by Equipo La Tova – Asesoría Almudevar
昨年所属したムーリアス・バスク・カントリーから、今年チーム・コフディスに移籍したバルセロ選手。今年の移籍について、お兄さんのバルセロ監督はこのように語ります。
ムーリアスに行く前に、フェルナンドがコフディスの育成枠で走っていたことがあったんです。そのため、ムーリアスに行ってからも、コフィディスのコーチ陣が彼のことをよく見いてくださったんですね。なので、フェルナンドにとって、今回の移籍はもともとよく知っているチームに行った形なんです。とはいっても、フランス語にはちょっと苦労してるようですが(笑)。
今年は、新型コロナウイルスがヨーロッパで蔓延する前に、アルゼンチンのブエルタ・ア・サンファン(Vuelta a San Juan)とフランスのツール・ド・ラ・プロバンス(Tour de La Province)の2レースを走ったバルセロ選手。しかし、現在スペインでは外で自転車に乗ることができないため、いまは室内でトレーニングをしているとのことでした。
厳しい時期を乗り越えて、未来を育てるために
プロジェクトの舞台となるウエスカはピレネー山脈の麓にある街。少し走るとこのような山岳地帯が広がります。Photo by Equipo La Tova – Asesoría Almudevar
バルセロ監督へのインタビューは、ちょうどスペインで外出禁止令が発効されていた時期でした。レースはすべてキャンセルされ、彼のチームの選手たちも家でトレーニングするしかない、という厳しい時期にインタビューに応えてくださったバルセロ監督。
非常に物静かで、常に穏やかに話す青年監督の口から出た「1日1日を乗り切って、レース再開まで待つ」という言葉に、強い意志を感じました。
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