全米大学野球選手権 カレッジ・ワールドシリーズが熱い!

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ネブラスカ州オマハで、6月16日から28日まで約2週間に渡って行われていた大学野球の全米一を決める大会、カレッジ・ワールド・シリーズ(以下CWS)が閉幕しました。

大体、アメリカの国内大会を「ワールド」と呼んでしまうこと自体、アメリカ人以外から見ればおかしな話なのですが、メジャーリーグのワールド・シリーズがワールド・ベースボール・クラシック(WBC)よりはるかに人気と権威があるように、このCWSはアメリカ人にとってはアマチュア野球の最高峰とも言える注目の大会となっています。

市の人口とほぼ並ぶ観客動員数

日本の高校野球の聖地は、甲子園球場、大学野球の全日本大会は神宮球場で行われます。同じように、CWSも1950年以来、ずっとネブラスカ州オマハ市で行われています。「オマハに行こう」がアメリカの大学野球の合言葉なのです。

このオマハ市、アメリカのほぼ中央部にある都市で、人口は約40万人です。ネブラスカ州では最大の都市ではあるのですが、ニューヨークやロサンゼルスのような大都会からは距離も遠く離れていますし、雰囲気もだいぶのんびりした地方都市です。

大会の会場となるのはTDアメリトレード・パーク・オマハ球場。収容人数約2万4千人とさほど大きくはありませんが(立ち見席も含めると3万5千人収容可能)、2011年にオープンした比較的新しくきれいな球場です。

大会期間中、この球場が連日超満員に膨れ上がります。昨年の延べ入場者数は、人口40万のオマハで、過去最大の35万7千人にまで及びました。高校野球の甲子園大会の方がトータルの入場者数はこれより多いかもしれませんが、球場所在地の人口比を考えれば、CWSの盛況ぶりがイメージ出来るかと思います。ちなみに6月17日に神宮球場で行われた全日本大学野球選手権大会決勝戦の観客数は主催者発表で7000人でした。

CWSの全試合が、スポーツ専門ケーブルテレビ局「ESPN」で中継されます。アメリカの大学スポーツでは圧倒的にアメフトの人気が高く、バスケットボールがそれに続きますが、このCWSも野球ファンの注目を集めます。

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アメリカの大学野球では選手達はベンチに座らず、ダグアウトのフェンス前に総立ちでチームメイトに声援を送るのが伝統

ダブル・エリミネーション

CWSは甲子園大会のような一発勝負のトーナメントではありません。まず、全米を8つの地域に分け、地域予選を勝ち抜いた8代表校を2つのブロックに分けます。1次ラウンドは4校ごとのブロックそれぞれが、「ダブル・エリミネーション」と呼ばれる2敗した時点で敗退となる形式のトーナメントを戦います。そして、両ブロックの優勝校が3試合の決勝戦シリーズを行うやり方です。つまり、優勝校は1次ラウンドで1敗、決勝戦シリーズでも1敗まで出来るということです。

ダブル・エリミネーション形式のトーナメントは、かつてWBCの1次2次ラウンドでも採用されていました。そもそも野球とは勝敗に不確定要素が常につきまとうスポーツで、必ずしも強いチームが勝つとは限りません。プロ野球のレギュラーシーズンで言えば、勝率6割を越えたらほぼリーグ優勝ですし、最下位のチームでさえ3~4割程度の確率で試合に勝つ可能性があります。

観る方からしますと、1敗した時点でおしまいになってしまう日本の高校野球は、ドラマ性に満ちているわけですが、野球というゲームの性質からすれば、ダブル・エリミネーションは合理的なシステムだと思います。そのせいでしょうか、アメリカではダブル・エリミネーション形式のトーナメントが少年野球のレベルから一般的に広く採用されています。

契約金合計13億円以上!ドラフト上位指名選手がそろい踏み

2018年のCWS、1次ラウンドを制し決勝戦シリーズに勝ち残ったのはオレゴン州立大学とアーカンソー大学でした。

オレゴン州立大学は6月4日に終わったばかりのメジャーリーグのドラフト会議で、上位指名された選手がずらりと並んだスター集団です。


オレゴン州立大学、2018年カレッジ・ワールドシリーズ決勝第1戦ラインアップ

上の表の通り、1大学チーム内にドラフト指名された選手が5人います。その5人の契約金を合計するとなんと13億円を超えます(金額は推定、1ドル110円で計算)。さらにオレゴン州立大学には全米大学代表チームに選出された2年生が1人います。

一方のアーカンソー大学も指名順位は低いものの、ドラフト指名された選手が5人、そして全米大学代表チームに選ばれた2年生が2人います。ちなみに全米大学代表チームは2年生が主体です。なぜならメジャーのドラフト会議は大学選手の選考対象が3年生か21歳以上なので、プロに進む選手の多くは3年生を終了すると大学野球から離れるからです。

2018CWS決勝戦シリーズ

さて、決勝戦シリーズの様子を紹介します。地理的にアーカンソーの方がオレゴンよりオマハに近いせいでしょうか(それでも約600キロ離れていますが)、決勝戦シリーズのスタンドはアーカンソー大学カラーの赤に染まりました。大声援に後押しされたアーカンソー大学がスター集団のオレゴン州立大学を1試合目4-1と破りました。
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試合前のオレゴン州立大学チーム

続く2戦目、ここで負けると後がなく、9回2アウトまで2-3で負けていたオレゴン州立大学が、絶体絶命の土壇場から同点タイムリー、2点ホームランの連打で逆転勝利というドラマを見せます。両チーム1勝1敗で勝負は最終の3戦目にもつれ込みます。

運命の第3戦。先制したのはオレゴン州立大学でした。1回裏にヒットとエラーで2点を奪うと、その後も順調に得点を重ね合計5点、投げては先発のケビン・アベル投手がアーカンソー大学をわずか2安打に抑えて完封。5-0でオレゴン州立大学が2007年以来11年振り3回目の優勝を飾りました。1次ラウンドの初戦に敗れて、敗者復活から勝ち上がっての快挙です。1次ラウンドと決勝戦シリーズを合わせて、オレゴン州立大学の2018CWSの戦績は6勝2敗。もし1次ラウンドがダブル・エリミネーションではなく普通のトーナメントなら初戦敗退だったことは興味深いです。

アーカンソー大学は1897年の創部以来120年越しの初優勝を逃しました。アーカンソー大学はこれまでCWSには9回出場していましたが、1979年の準優勝が過去最高の成績でした。

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日米大学野球大会の注目選手

CWSは終わりましたが、すぐに第42回日米大学野球選手権大会が7月5日からアメリカで行われます(全5戦)。前述しましたように、アメリカ代表チームはドラフト指名前の2年生が中心になりますが、CWSで惜しくも優勝を逃したアーカンソー大学からはドミニック・フレッチャー外野手が選出されています。

フレッチャー選手は最近ロサンゼルス・エンゼルスに昇格したデビッド・フレッチャー内野手の弟です。ドミニックのCWS出場が決定したのが6月11日、デビッドがメジャー昇格したのがその翌日だったそうです。

もう一人の注目選手はカリフォルニア大学のアンドリュー・ボーン内野手。ボーン選手は昨年も1年生ながらアメリカ代表入りしていました。今年は所属するカリフォルニア大学はCWSへ出場できませんでしたが、ボーン選手は2018年シーズンを打率4割、54試合で23本のホームランを放つ大活躍で、最優秀アマチュア選手に贈られるゴールデンスパイク賞の最終候補者になっています。

この2人以外にもアメリカ代表チームには来年のドラフトの目玉になるであろう選手が多く選ばれています。むしろ、代表チームに選ばれた2年生で翌年のドラフトで1位か2位の上位指名を受けない選手の方が珍しいぐらいです。メジャーリーグのスター選手が多く出場を辞退するWBCとは違い、大学野球のアメリカ代表チームは本当にベストメンバーなのです。

日米大学野球大会は1972年の第1回大会から2017年の第41回大会まで、日本が15回、アメリカが21回勝ち越しています。通算試合成績では日本が96勝、アメリカが123勝、引き分けが2試合。ややアメリカに分があるのも納得できますが、今年の日本代表チームにも期待したいです。


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