ママランナー“nori”のフルマラソン挑戦!【つくばマラソン】
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2019年以来、3年ぶりに開催された“つくばマラソン”をママランナーとしての初レース、第2の競技人生のスタートレースとして走ってきました!
きっと多くのお母さんが、子どもの小さい頃は自分の時間はほとんどないと思います。何かを頑張りたい気持ちがあっても、子ども中心の日常に、自分が頑張る時間を作るのも悪いことのように感じてしまったり、実際に動き出してみたときに様々な問題にぶつかったり。元々スポーツをしていた人であれば、以前のような練習ができないことにもモヤモヤして、“母”としても“競技者”としても自分はダメだなと感じてしまうこともあるかも知れません。筆者がそうでした。
“走る目的”や“目標”が明確で、そこに向かって優先的に時間を使ったり、取り組むことができた過去と比べて、頑張り切れない状態で大会に出場する意味もなかなか見付けられず、大会を走りたい気持ちはありながらも、実際に走る怖さ・現状を知る怖さとも葛藤していたように思います。
今回は、前回の2019年大会での順位が招待対象のラッキーナンバーだったという運にも背中を押してもらい、“今の自分に挑戦してみよう!”と決めました。
日本を代表するスポーツ選手にも、子どもを持つママアスリートが増えてきて、サポートする環境も少しずつ整ってきています。スポーツ愛好家の方、市民ランナーにも、お母さんになってからも続けたい人は、きっと少なくないと思います。
一人のランナーの一つの小さな経験ですが、フルマラソンへの挑戦に是非お付き合いください。
これまでの走歴と出産歴
筆者は子どもの頃から走るのが好きで、中学で特設の駅伝部に入ってからずっと、日常の中に“走ること”がありました。
それが途切れたのが、妊娠・出産です。筆者の場合、流産も経験しました。“流産”は、外で口には出さなくても経験している人が少なくないのではないかと思います。体にも心にも、大きなダメージを残します。この時の筆者は、失望感で気力をなくしていましたが、参加資格のあった2ヶ月強後に開催される”大阪国際女子マラソンを走る”と決めたことで前を向けました。
この時の結果は、途中の関門で制限時間に間に合わずDNF(途中棄権)。国際女子マラソンへの参加資格も途切れてしまいましたが、走ったことで感じられた思いがたくさんありました。きっとどの赤ちゃんも、お腹にきてくれたことには意味があると思っています。
筆者の周りには、「妊娠中も走っていた」という先輩ランナーが多くいて、インターネットで調べても“日常的にスポーツをしていた人は、激しい運動でなければ無理なく行って良い”というのを見て、筆者も妊娠初期に軽めに走っていましたが、少量の出血が起こり、何かあってからでは遅いのですぐにやめ、時期や体調を見ながら歩く程度にしました。出産後も安静にすべき時期があるので、“走ること”からしばらくの間離れた生活を過ごしました。
1人目が生まれ、子どもの1ヶ月健診が終わってから、徐々に“走ること”を再開しました。まずは、子どもを抱っこ紐で抱っこしての散歩からスタートし、走り出したのは出産から約1ヶ月半後でした。
体全体がガチガチに硬くなっている感覚で、股関節や下腹部に違和感や、背中にも響くような痛みを感じて、出産での体へのダメージの大きさを実感しました。
子どもが生後3ヶ月を過ぎてからバギーランを始め、ときには子どもを見ていてもらって1人で走りながら体力を戻していきました。
出産から約11ヶ月後に2019年のつくばマラソンをペーサー兼サポーター(筆者がコーチをしていたメンバーの)として走りました。
2人目が生まれてからは、2人を連れて走るのが難しいと思ったので、出られるタイミングを見付けて時々走ったり、家でできる運動をする程度でしたが、上の子が幼稚園に通い始めたタイミングで、下の子を連れてのバギーランをスタート!日常的に走る生活が戻りました。
年表
■中学1年
特設の駅伝部に志願し、陸上競技を本格的に始める。
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■高校2年
初めてフルマラソンへ挑戦!
(ホノルルマラソン:3時間46分13秒。完走者19217人中1014位、女性8585人中161位、年代別15~19歳の部87人中1位!)
中長距離や駅伝では結果が出せずに挫折中だったので、やってきたことが実ったと思えて、フルマラソンが大好きになりました!
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■2007年3月
初めて国際女子マラソンへ出場!
(名古屋国際女子マラソン:3時間03分53秒)
以来、2017年までは名古屋国際女子マラソン、東京国際女子マラソン、大阪国際女子マラソン、横浜国際女子マラソン、さいたま国際女子マラソン、名古屋ウィメンズマラソンと移り変わってきた国際女子マラソン(参加標準記録を2年以内に達成している必要があり、オリンピックや世界陸上、MGCへの選考にもなっている大会)を走ってきました。
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■2013年2月
いわきサンシャインマラソンで、フルマラソンの現自己ベスト3時間00分39秒を記録。
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□2016年11月
授かった子どもを8週~10週で流産
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■2017年1月
大阪国際女子マラソン出場
(結果は関門で収容。全ての国際女子マラソンへの参加資格が途絶える。)
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■2018年2月
ママになる前、最後のフルマラソン(いわきサンシャインマラソン:3時間25分52秒)
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□2018年12月
1人目を出産
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■2019年11月
ペースメーカー兼サポーターとしてつくばマラソンを出走。
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□2021年1月
2人目を出産
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■2022年11月
つくばマラソンで約5年ぶりにレース復帰(今回)!
61回目のフルマラソンのスタートラインに立ちました。
大会に向けてのトレーニング
こんなトレーニング計画でスタートしました!
・4月〜6月:土台作り期(できるだけ毎日走る。)
・7月〜9月:走り込み期(走行距離を伸ばす。)
・10月:追い込み期(レースペースを体に覚えさせる。)
・11月:調整期(疲労を抜いて体調を整える。)
3月までは、家の中でできる筋力トレーニングやステッパーをやったり、ウォーキング、出られる時には走りながら、“ランナー”という意識は忘れずに体を動かすことを続けてきました。
4月に入って、平日は娘を幼稚園に送ってすぐに走りに行くのが習慣化して、徐々に距離も延ばすことができました。6月下旬には子どもが大丈夫なときには15km程度を苦なく走れるようになりました。
(妊娠中~産後に増えた体重も維持してまっていたので、4月下旬から減量も開始ました。)
・4月の走行距離:約115km
・5月の走行距離:約178km
・6月の走行距離:約219km
7月中旬までは、ある程度順調に練習を見重ねられていましたが、ここで壁が出てきました。7月の下旬~8月いっぱいまで、幼稚園は夏休みになります。1ヶ月強の期間、どうやって走りを継続しようか考えた結果、2人用バギーを購入して子ども達を連れて走ることにしました。
これまでは2人を連れて走るのは難しいと思っていましたが、やろうと思えばできたことに気付きました。ただ、2人を連れて行くとなると重さも倍以上で、バギーを含めて約30kgを押しながら走るので、“走るトレーニング”というよりは何か別のトレーニングをしているような感覚でした。
今年の夏は猛暑日も多かったので、夏休み前よりも距離を減らして、体を動かすことだけは、できるだけ毎日続けました。子ども達が楽しめる公園に行って、遊んで帰ってくる約8kmが夏休みの主な練習コースでした。
・7月の走行距離:約248km
・8月の走行距離:約182km
9月、夏休みが明けてからは、1人用バギーの軽さと快適さを改めて感じながら距離を伸ばして15kmを走る頻度を増やしました。
・9月の走行距離:約253km
10月、大会に向けて追い込む予定の大事な時期でしたが、上旬から子ども達が熱を出したり、家族全員に風邪の症状が出てしまって、10日間くらいトレーニングが中断してしまいました。
これまでの積み重ねが水の泡になった気がして、一気に自信をなくしましたが、「一からかも知れないけど完全にゼロにはなってない。今できることをやろう!」と気持ちを切り替えて再スタートしました。
ペースを上げて追い込む期間は作れませんでしたが、15km前後のバギーランをできる限り入れました。ただ、この頃は下の子も自我がどんどん出てきて、途中で遊びたいと意思表示したり、抱っこしたいと泣くようにもなったので、遊びたい時には下ろして一緒に遊んだり、眠くて抱っこしたいときには抱っこ紐で抱っこして空のバギーを押しながら、途中の数kmを歩くようなペースで走ることも度々ありました。
バギーランは、立ち止まることも頻繁で、安全面からもペースはあまり上げられないので、“レースに向けてのトレーニング”としては難しい面もありました。それでも、メリットも感じられています。ですが、抱っこ紐はデメリットが多いと感じていて、抱っこ紐で走らざるを得ないときには“カロリー消費の目的”と割り切って走っています。
このような練習内容でしたが、10月が終わる頃にはフルマラソンを走れる自信は持てるようになっていました!
・10月の走行距離:約190km
レースの目標
つくばマラソンに申し込んだ当初は、大阪国際女子マラソン参加資格の3時間7分切りを目指したいと思っていて、練習が順調だった6月~7月頃は「チャレンジできるかも知れない!」と思えたときもありました。そのままいければ理想的でしたが、幼稚園の夏休み期間や家族の体調不良期間を経て、目標も変わっていきました。
初マラソンの記録、高校2年時の「3時間46分を切りたいな」と思ったり、3時間30分を意識したり。でもそれは、今以上に思いを持って頑張っていた過去の自分にも、今記録を目指して頑張っている人にも失礼だなと感じて、自分が記録を目指すことにも疑問を感じるようになりました。
なので、今回の目標は!
・久しぶりのマラソンを思いっ切り楽しむこと!
・大会を走ることで得られる、いろんな思いを感じること。
・記録や過去ではなくて、今の自分に挑戦すること!
・そして、現状の力を知って、新たな目標を見付ける!
という思いで本番に臨みました。
レース当日!
今回、レース前の調整がとても上手くいって、万全な状態で当日を迎えることができました!これまでに走った60回の中でもトップクラスの仕上がりで、調整に関しては経験と勉強してきたことが生きたと思えました。
天候にも恵まれて、最高のコンディションで本番を迎えることができました!
筆者がコーチをしているチームの仲間達も走ったので、より楽しめて、心強くもありました。スタート前は、「頑張ろう!!」と一人一人と握手をして、スタート地点に向かいました。
スタートブロックが同じメンバーもいて、スタート直前までリラックスして過ごせました。
スタートして、体の動くままに走り出しました!
スタート直後はオーバーペースになりやすいですが、そのペースに乗ってみることにしました。練習ではほとんど出していないペースだったので、やや心肺への負荷は感じつつも「このまま行ってみよう!」と決めました。
7km辺りで、完全にリズムに乗れた感覚があって、練習ではほんの数回・数kmしか走れていないペースでしたが、楽に感じて、5km毎があっという間に感じました。
25kmまでこの流れで順調に走れたので、3時間半切りを意識している自分もいました。
27kmくらいで少し脚が重くなって、疲れが出てきた頃に、家族と両親の心強い応援隊に元気をもらいました!
30km付近で、今まで攣ったことがないふくらはぎと大腿が攣りそうになって、このまま走り続けようか葛藤しながらも、止まってストレッチすることを選択。最近、フォームを骨盤前傾の意識に変えていたので、その影響が出ました。靴紐も、普段の練習よりもきつく締めていたので、一度結び直して気分を変えました。
記録を目指した練習をできていない今は、甘えかも知れませんが“痛みや苦しさに耐えながら記録を求めて走る”ことよりも、“怪我なく「また走りたい」と思えるレースをする”ことの方が意味があるように思えて、その後は時計を見ずに、必要と思ったときには止まってストレッチをしながら走りました。
東日本大震災の後から、走る上でテーマとして持ってきた“苦しいときも笑顔”の精神は、変わらずに大事にしながら走りました。それでも笑顔を忘れそうになるときもあって、心の弱さや課題はたくさん見えましたが、練習でのペースからすると120%は出せた結果だったと思っています。
記録(グロスタイム)は3時間36分34秒。61回目のフルマラソンチャレンジ、56回目のフルマラソン完走です!
レース後は、走り切れたことにホッとした気持ちと、湧き出る笑顔があることに気付きました!そして、次に予定している2月のいわきサンシャインマラソンでの目標も見付かりました!
■目標
・今回のレースに向けて、妊娠中から産後で増えた体重は戻して臨みましたが、もう少し体を絞って大会を迎えること(体作りは、家の中でも子どものことも関係なくできる部分なので、大事にしたいです)。
・つくばマラソンで前を走るランナーの背中がかっこ良くて、「また上を目指したい!」と思えたので、まずは3時間30分切りを目標にしたいと思います。そして、長年の目標で達成できていない3時間切りにも、必ずまた挑戦します!
つくばマラソンは、コースはやや下りかフラットで記録も出やすく、紅葉に囲まれたキレイな道を走ることができます。エイドの補給食も充実していて、今年はたい焼きやワッフル、オムレット、ゼリー、冷凍リンゴなど魅力的なものがたくさんありました。筆者はレース中エネルギーが持ってくれたので、残念ながら食べていませんが、個包装されていて子ども達へのお土産にも持ち帰りたいくらいでした。他の選手からも好評でした!
つくばマラソンを走って、久しぶりに熱い気持ちを感じることができました。やっぱり、挑戦し続けることって大事!
人生の中にはいろんな時期があって、やりたくてもあまり練習ができないこともあると思います。年齢を重ねれば、体の変化や、また新たな課題も出てくるでしょう。
記憶は時間が経てば薄れてしまうので、“過去の頑張り”に満足せずに“今の自分”への挑戦を続けながら、「走り切れた!」って笑顔や新しい目標が出てきたり、「頑張ったけどダメだった」って悔しい思いを感じて、「次こそ!」と新たな気持ちをもらったり。こんな胸が高鳴るような気持ちを感じていくことが、人生の充実や、心と体の健康にも繋がっていくように感じました。つくばマラソンに挑戦して良かったです!
これからどんどん寒くなるので、来年2月のいわきサンシャインマラソンに向けて、練習の仕方も課題です。バギーランで寒い中を長く走るのは、子どものことを考えると良いとは思わないので、試行錯誤と工夫で子どもにとってもプラスの時間になるようなトレーニングの仕方を考えながら、走力も上げていくことがママランナーとして今後の課題、そして目標です!