アメフトシーズン到来!NFL観戦を楽しむために知っておくべき超基本

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アメフトシーズン到来!NFL観戦を楽しむために知っておくべき超基本

スポーティ

秋から冬にかけて、アメリカはフットボールの季節です。プロリーグであるNFLのシーズンが開幕するのは9月初め。それからから翌年2月上旬のスーパーボウルまで続く約5か月間に、夫婦の危機を迎える家庭が続出するそうです。

夫がアメフトのテレビ中継に夢中になって、ないがしろにされた妻が不満を爆発させるからです。そのような人を指す「Football Widow」(アメフト未亡人)という言葉が成句になっているくらいです。

ちなみに高校や大学のアメフトもほぼ同じ時期がシーズンです。高校は金曜夜、大学は土曜、NFLは日曜、が基本的なスケジュールですが、NFLは月曜と木曜にもそれぞれ1,2試合を組み込みます。

アメフトの試合は大体3時間くらいかかりますので、多くの人々にとって、毎週アメフト観戦に割く時間は膨大なものになります。ただ見るだけではなく、Fantasy Footballと呼ばれるシミュレーションゲームも人気があり、それをやる人はさらに研究に余念がありません。

NFLがいかにアメリカの国民的スポーツであるかは、オリンピックと比較してみるとよく分かります。2021年夏に行われた東京オリンピックをアメリカ内で中継したのはNBCですが、期間中の平均視聴者数は約1,560万人だったそうです*¹。一方、その約半年後の2022年2月に行われた第56回NFLスーパーボウルの中継もNBCでしたが、こちらの視聴者数は約2億800万人にも達しました*²。

アメリカの人口は約3億人ですので、非常にざっくりとした言い方をするならば、アメリカ人の20人に1人くらいしかオリンピックを見ないのに対して、3人に2人くらいはスーパーボウルを見るということになります。在米30年以上になる私の実感からもかけ離れてはいません。

参考
*¹ Tokyo Olympics least-watched ever, Summer or Winter
>>https://www.sportsmediawatch.com/2021/08/olympics-ratings-nbc-lowest-ever-viewership-summer-winter-tokyo/

*² Super Bowl LVI total viewing audience estimated at over 208 million
>>https://www.nfl.com/news/super-bowl-lvi-total-viewing-audience-estimated-at-over-208-million

バナー写真: “Tom Brady” by Jeffrey Beall is licensed under CC BY-SA 2.0.

NFLは大相撲に似ている?レギュラーシーズンはわずか17試合

スーパーボウル前年度優勝チーム、ロサンゼルス・ラムズのシーズン前トレーニングキャンプ

アメフトは激しい身体コンタクトを伴うスポーツですので、野球のように試合を連日行うことはできません。各チーム週1回の試合が基本です。

NFLのレギュラーシーズンは18週間。各チームが戦うのは17試合です。1週だけの休みがランダムに各チームへ与えられます。

NFLは全米各地に32チームあります。AFCとNFCの2つのカンファレンスに16チームずつが所属し、各カンファレンスはさらに東西南北の4地区に分かれます。つまり1地区に4チームです。

全32チームがそれぞれ17試合のみ、しかも同地区のチームとはホーム&アウェーで2試合を行いますので、シーズン中に1度も実現しない組み合わせも多数あります。どのチームと戦うか、あるいは戦わないかによって、1勝の価値は大きく変わるのですが、順位は勝率によって決まります。その点、大相撲の取組表編成と優勝者決定方式に似ていると思うのは私だけでしょうか。

プレーオフでは、各カンファレンス以下、それぞれの地区を優勝した4チーム、さらにそれ以外でレギュラーシーズンの勝率が高いワイルドカード枠の3チーム、計7チームが勝ち抜きトーナメント方式で争い、それぞれの優勝チーム同士がスーパーボウルで激突する、という流れになります。レギュラーシーズンでカンファレンス優勝を果たしたチームは、プレーオフの1回戦が不戦勝となります。

プレーオフ期間中、スーパーボウル以外のすべての試合はシード順が高いチームの本拠地で行われます。シード順はレギュラーシーズンの勝率によって決められますので、プレーオフ進出を早々に決めたチームでもレギュラーシーズン最終戦まで気を抜けないことがよくあります。いわゆる消化試合を防ぐための上手い取り組みだと思います。

一方、スーパーボウルの開催地はあらかじめ決められています。2023年の第57回大会はアリゾナ州グレンデールのステートファーム・スタジアム、アリゾナ・カージナルスの本拠地で行われます。

つまりスーパーボウルの開催地とは本来が中立地であり、地元のチームが出場すること自体が快挙なのですが、2021年のタンパベイ・バッカニアーズ、2022年のロサンゼルス・ラムズと、2年連続で開催地を本拠地にするチームがスーパーボウルを制しました。32分の1の確率が2回続くと言う非常に不思議な現象でした。

初めてNFLを見る人におススメの楽しみ方

スーパーボウル前年度優勝チーム、ロサンゼルス・ラムズのシーズン前トレーニングキャンプ#2

NFLにはまだ日本人の選手が誕生していません。野茂英雄が渡米する前のメジャーリーグのようなものです。日本でのNFL人気がそれほどまでに盛り上がらないのは、きっとそのせいでしょう。

しかし、アメリカ人があれほど熱狂するスポーツが面白くないわけはありません。現在のところ、日本国内では地上波でのテレビ中継こそありませんが、NFL公式配信サービスやDAZNなどでNFLの試合を視聴することは可能ですので、ぜひチェックしてみてください。
■NFL公式サイト日本語版>>https://nfljapan.com/broadcast 

初めてNFLを見るという人は、何らかのとっかかりが必要でしょう。そのためには無理やりにでも応援するチームを決めてしまうと、シーズンの行方を楽しんで追いかけることができます。好きな都市のチームでもよいですし、よくニュースで話題になる選手のチームでもよいと思います。

最も簡単な方法は、好きなクォーターバックを決めてしまい、そのチームを応援することです。クォーターバックとは攻撃の中心となるだけではなく、チームの顔となるポジションです。全米で32人しかいないNFLの先発クォーターバックは、ただそれだけで他のスポーツにおけるスーパースターのような存在だと言えるでしょう。

有名な名前を挙げますと、スーパーボウル7回優勝の偉業を成し遂げてNFL史上最高選手と呼ばれるトム・ブレイディ(タンパベイ・バッカニアーズ)、先発クォーターバック定着後の直近4年間でスーパーボウルを2回制したパトリック・マホームズ(カンザスシティ・チーフス)。

直近2年連続で合計4回のMVP受賞を誇るアーロン・ロジャース(グリーンベイ・パッカーズ)、若きスーパースターであるジョシュ・アレン26歳(バッファロー・ビルズ)、ジャスティン・ハーバート24歳(ロサンゼルス・チャージャーズ)、ジョー・バロウ25歳(シンシナティ・ベンガルズ)といったところでしょうか。彼らは全員が超有名人ですので、ちょっとネットで検索をすれば、様々なエピソードを知ることができるはずです。

私が個人的に一番おススメしたいクォーターバックは、同じ年のドラフトでNFLとMLBの両方から1巡目指名を受けたカイラー・マレー(アリゾナ・カージナルス)です。

クォーターバック以外でも、NFLにはアメリカで最も運動能力が高いアスリートたちが集まってきます。例えば、東京オリンピックの110Mハードルで4位に入賞したデボン・アレンはフィラデルフィア・イーグルスの新人ワイドレシーバーです。

同じくワイドレシーバーには、100M走で東京オリンピック出場を惜しくも逃したものの(国内予選タイムは10:37)、2024年パリ大会でもアメリカ代表への挑戦を公言しているDKメトカーフ(シアトル・シーホークス)という選手もいます。それだけのスピードがあっても、彼らはけっしてトップ選手ではないことも、NFLの選手層がどれほど凄いかが想像できます。

スーパーボウル前年度優勝チーム、ロサンゼルス・ラムズのシーズン前トレーニングキャンプ#3

体が大きくて、足が速くて、力が強くて、楕円形のボールを投げたり捕ったりするのが抜群に上手い。そんな超人たちが集まってくるのがNFLです。それでもアメフトはルールがよく分からないからなあ、と言う人は、ぜひ下の記事を参照してください。

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