知ると世界卓球選手権が2倍楽しくなる、卓球の世界ランキングの仕組み

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知ると世界卓球選手権が2倍楽しくなる、卓球の世界ランキングの仕組み

スポーティ

2016年のリオオリンピックで水谷隼選手が日本初のシングルスのメダリストとなり、今年の4月に開かれたアジア選手権では、平野美宇選手が強豪中国人選手を破って優勝。この勢いにのっている日本人選手達は、5月29日からドイツのデュッセルドルフで開かれている世界卓球での活躍も期待されています。また、この大舞台で勝利することで、世界ランキングのランクアップが予想されます。テレビなどで世界ランキング◯◯位、と耳にすることはあるけれど、卓球の世界ランキングがどのようにつけられているのか、知らない人も多いのではないでしょうか。今回はこの仕組みについて説明していきます。

卓球の世界ランキングの仕組み

卓球の世界ランキングを決めているのは、スイスのローザンヌに本部があるInternational Table Tennis Federation、通称ITTFです。ITTFには現在220の国・地域が加盟しています。驚くことに、ITTFは、スポーツ組織として最多加盟数222の国際バレーボール連盟に次いで、加盟数の多い組織です。このITTFが世界卓球選手権やITTFワールドツアーを主催しています。ITTFワールドツアーでは、世界ランキングを大きく左右する大事な試合が数多く開かれています。

レーティングポイント

卓球の順位付けは、[レーティングポイント+ボーナスポイント−ペナルティポイント]で決まります。
レーティングポイントとは、試合の勝ち負けによって加算される点です。通常、勝者は加点、敗者は減点される方式で、試合前の対戦相手とのレーティングポイントの差で加点・減点される点数が異なります。また、R1からR3の試合があり、試合の格付けによって与えられる点数が変わってきます。R1はオリンピックや世界選手権などの規模の大きい大会で、R2、R3と規模が小さくなるに連れて加点・減点される点数が少なくなります。
6月1日に行われた、世界卓球選手権大会個人戦4日目の水谷隼選手対張本智和選手の試合。この試合で、13歳の張本選手が、リオオリンピックシングルス銅メダリストの水谷選手を破るという番狂わせが起きました。この時点での水谷選手のレーティングポイント2968、張本選手のレーティングポイント2103で、レーティングポイントの差865です。世界卓球選手権大会はR1の大会なので、昨日の試合で張本選手は80点のレーティングポイントを獲得、水谷選手は40点レーティングポイントを減点されたことになります。
この様に、レーティングポイント差が大きい場合、獲得・減点されるレーティングポイントが大きくなります。

【レーティングポイント】

格付け R3 R2 R1
倍率 1 1.5 2
レーティング
ポイントの差
勝者 敗者 勝者 敗者 勝者 敗者
加点 減点 加点 減点 加点 減点
上位の選手が勝った場合 751以上 0 0 0 0 0 0
501-750 1 -1 2 -1 2 -1
401-500 2 -1 3 -2 4 -2
301-400 3 -2 5 -3 6 -3
201-300 4 -2 6 -3 8 -4
151-200 5 -3 8 -4 10 -5
101-150 6 -3 9 -5 12 -6
51-100 7 -4 11 -6 14 -7
26-50 8 -4 12 -6 16 -8
0-25 9 -5 14 -7 18 -9
下位の選手が勝った場合 0-24 10 -5 15 -8 20 -10
25-49 12 -6 18 -9 24 -12
50-99 14 -7 21 -11 28 -14
100-149 16 -8 24 -12 32 -16
150-199 20 -10 30 -15 40 -20
200-299 24 -12 36 -18 48 -24
300-399 28 -14 42 -21 56 -28
400-499 32 -16 48 -24 64 -32
500-749 36 -18 54 -27 72 -36
750以上 40 -20 60 -30 80 -40

 

【大会の格付け】

R1 オリンピック競技大会(予選大会を除く) B1
オリンピック競技大会 予選大会 なし
ユースオリンピック競技大会(予選大会を除く) B3
ユースオリンピック競技大会 予選大会 なし
世界選手権大会(個人) B1
世界選手権大会(団体) なし
世界ジュニア選手権大会(シングルス) B3
世界ジュニア選手権大会 (団体戦) なし
ワールドカップ(個人) B2
ワールドチームカップ なし
R2 ITTFワールドツアー・グランドファイナル(U21を除く) B2
ITTFワールドツアー・スーパーシリーズ(U21を除く)
ITTFワールドツアー・メジャーシリーズ(U21を除く) B3
ITTFワールドツアー・チャレンジシリーズ(U21を除く) B4
ITTFワールドツアー U21種目 なし
ITTFグローバルジュニアサーキット (カデット、ファイナル大会含む) B4
ITTFワールドカデットチャレンジ
R3 大陸選手権大会(例:アジア卓球選手権大会) B3
大陸カップ(例:アジアカップ)
総合競技大会(例:ユニバーシアード) B4
大陸ジュニア選手権大会(例:アジアジュニア選手権)
地域大会 B5
その他の国際オープン大会

ボーナスポイント

ボーナスポイントは、それぞれの大会の順位ごとに与えられる点数です。こちらもB1からB5までの大会の格付けがあります。レーティングポイントと異なる点は、ボーナスポイントは1年間で失効するポイントということです。
水谷選手の場合、リオオリンピックで3位になった翌月のポイントが167点で、一気に高得点を獲得しました。これは、一番格付けの高いB1の大会であるオリンピックでのボーナスポイント56点+格上の許昕選手に勝利して得た48点を含む、レーティングポイント111点を得たためです。

B1 B2 B3 B4 B5
1位 72 54 36 18 9
2位 64 48 32 16 8
3位 56 42 28 14 7
ベスト4 48 36 24 12 6
ベスト8 40 30 20 10 5
ベスト16 32 24 16 8 4
ベスト32 24 18 12 6 3
ベスト64 16 12 8 4 2
ベスト128 8 6 4 2 1

 

ペナルティポイント

レーティングポイントとボーナスポイントの他に、ペナルティポイントという減点ポイントがあります。ペナルティポイントは、エントリー後に棄権した場合に課されるポイントです。通常の試合では、25点引かれます。大会の期間中に負傷して次の試合に出場できない場合は、通常の減点ポイントだけで、ペナルティポイントにはなりません。ダブルスや団体戦でチームメンバーの欠場により試合ができなくなった際も、欠場の原因となった選手以外は減点されません。また、ペナルティポイントは1年で消滅します。

世界ランキングは、今までの選手人生の成績

ここまでランキングの仕組みについて説明してきましたが、ここで注目する点は、各ポイントの残存期間です。ボーナスポイントは1年毎に消えるポイント、レーティングポイントは8ヶ月に1度試合をすれば、基本的に継続されるポイントです。そのため卓球の世界ランキングはテニスの様にシーズンの成績のみで決まるのではなく、今シーズン以前の結果も大事になることがわかります。例えば、世界ランキング6位の水谷選手の現在のボーナスポイントは162点(2017年5月)です。一方、7位の黃鎮廷選手は258点、10位の荘智淵選手は194点で水谷選手を上回ります。一見不思議に見えますが、レーティングポイントの方が世界ランキングで大きな割合を占めるため、この場合の様に今シーズン以前に蓄積してきたポイントで稼ぐことが出来るのです。

現在開かれている世界卓球選手権は、オリンピックに並ぶ高い格付けの試合で、更に今年は個人戦であるため、ボーナスポイントが付きます。そのため、今大会は順位を上げるチャンスで、大会後にはランキングの大きな変動が予想されます。
今若手選手が続々と育っている日本の卓球界。世界ランキングにも注目しながら、彼らの活躍を見守っていきましょう。

 

2017年5月の世界ランキング

男子 女子
1 馬龍 1 丁寧
2 樊 振東 2 劉 詩ブン
3 許 シン 3 朱 雨玲
4 張 継科 4 馮 天薇
5 オフチャロフ 5 陳 夢
6 水谷隼 6 石川 佳純
11 丹羽孝希 10 伊藤美誠
18 松平健太 10 佐藤瞳
22 大島祐哉 16 早田ひな
28 村松 雄斗 22 橋本帆乃香
30 吉村 真晴 30 浜本由惟
69 張本 智和 32 加藤美優
34 森さくら
36 森薗美咲

photo by Gaël Marziou and Andrew Price


スポーツ 卓球 日本代表