ツッコミどころ満載!?愛すべきプレミアリーグのマスコットたち
WATCHツッコミどころ満載!?愛すべきプレミアリーグのマスコットたち
プレミアリーグ・マスコット魅力その1 微妙な見た目
キャラクター天国ニッポンにおいては、サッカーやプロ野球のクラブマスコットも軒並みハイクオリティ。
そんな環境下で審美眼を磨かれた日本のファンにとっては、プレミアリーグのマスコットはツッコミどころ満載かもしれません。しかし、見慣れてくるとその脇の甘さこそが魅力的に思えてくるから不思議です。
最大のツッコミどころは何と言っても微妙な見た目。アリモノをそのまま使ったような、あるいはスタッフが適当に描いた絵をそのまま立体化してしまったような、今や世界で最もお金が集まるリーグとは思えない面構えのマスコットが目白押しです。
たとえば、プレミアリーグのマスコットには、トッテナムの”Chirpy Cockerel”(オンドリ)、アストンヴィラの”Baggie Bird”と”Albi”(ツグミ)のように、鳥をモチーフにしたものが比較的多い(14-15シーズンは7クラブ)のですが、そのほとんどがどことなく異様というか恐ろしげなのはいったいなぜなのか!かと思えば、翼の先に人間の手がむき出しになっていたり、膝から下が普通の人間の脚+スパイクだったり。とりわけ、ノリッジ・シティの”Captain Canary”は傑作の風格を漂わせています。
また、「悪魔」「宇宙人」など、マスコットの常識を超える生き物(そもそも生き物なのか!?)を繰り出してくるのも得意技です。
本記事のトップに掲載したのは、”Red Devils”というクラブの愛称をうっかりそのままマスコット化してしまったマンチェスター・ユナイテッドの”Fred the Red”。笑っているようには見えない目と可愛いポーズのギャップが何とも言えません。
一方、「宇宙人」をマスコットに据えたのはマンチェスター・シティ。こうして見るとイングランドというよりマンチェスターが独特なのかもしれません。
プレミアリーグ・マスコット魅力その2 微妙な態度
日本にもいたずら好きのマスコットはいますが、態度の悪いイングランドのマスコットは確信犯レベル。
休日のお父さんのように寝そべってみたり、相手クラブのマスコットと乱闘騒ぎを起こしたり。客席に愛想を振りまく姿も、よくよく見ると「それでいいのか!?」というユルさが漂っていたりします。
さらに愛想を振りまいている分にはよいのですが、敵の応援に駆け付けたアウェイサポには何かと容赦ないのがプレミアリーグ。
マスコットもご多分に漏れず、アウェイサポには遠慮なく攻撃を仕掛けます。見た目からして怖そうな怪物キャラに凄まれたら、子どもは泣いてしまいそう!(いや、そうでなくても泣いてしまいそうな風体のマスコットは多いのですけども)
プレミアリーグ・マスコット魅力その3 意外と動ける!
重そうな体のマスコットたちですが、実は意外と「動ける」ヤツもいるようです。
2015年のロンドンマラソンでマスコット最速記録を出したというワトフォードの”Harry the Hornet”(ハチ)のようなアスリートタイプならずとも、シーズンオフにはマスコットたちが大集結して行う運動会が盛り上がりを見せます。
歌って踊れるマスコットといえば、サウサンプトンの”Summy Saint”と”Super Saint”。
見た目はいかにもイングランドらしく、作り込みのほとんど感じられないユルいビジュアル。さらに2体いる場合はたいてい男女のペアであるのに対し、彼らはどうやらどちらも男性キャラのよう……と微妙なことだらけですが、そんな彼らが試合前に披露したのはなんと「江南スタイル」!客席は大喝采に包まれ、試合に向けて大いに盛り上がりました。
“Summy Saint”と”Super Saint”が「江南スタイル」を踊る2012年の映像。ちなみにこの頃イングランドではこの曲が大流行。あの香川真司選手も、加入したばかりのマンチェスター・ユナイテッドで踊って人気者になったとか。
また、プレミアリーグの試合では、ハーフタイムに観客が参加するPKチャレンジを行うスタジアムも多いもの。
そんなとき、応援するだけのマスコットもいますが、中には自らゴールを守る者もいます。アーセナルの”Gunnersaurus”や、スウォンジの”Cyril the Swan”などはその代表格です。ただし、見事PKを止められるかどうかは、それはまた別の話。
見た目が微妙、態度も微妙、それでも踊ったり走ったりと何とも個性豊かなプレミアリーグのマスコットたち。
しかしここ数年、微妙な「お直し」が施されているマスコットも散見されます。たとえば前出の”Cyril the Swan”ですが、数年前には”Captain Canary”同様、羽の先から人間の手が見えており、膝から下は人間のスネがむき出しだったのが、今は手もスネも見えなくなって、あとはリアルなスパイクを残すのみとなってしまいました。
2012年に誕生したリヴァプールの新マスコット、”Mighty Red”などは、洗練された普通に「可愛い」キャラクター。グローバル化の波はイングランドのマスコットにもにも押し寄せているようです。「プレミアリーグらしい」マスコットたちに出会うには、なるべく早くイングランドに駆けつける必要があるのかもしれません。