柴崎岳が背番号10を背負う、ヘタフェCFってこんなクラブ

柴崎岳が背番号10を背負う、ヘタフェCFってこんなクラブ WATCH

柴崎岳が背番号10を背負う、ヘタフェCFってこんなクラブ

スポーティ

鹿島の10番として世界を席巻した2016年の冬から約6ヶ月。テネリフェ島での冒険を経て、柴崎岳の次なる戦いの舞台はマドリード近郊の街・ヘタフェに決まりました。この街で1983年に産声をあげたヘタフェCFで、柴崎は背番号10を背負い2017-18シーズンを戦います。今シーズン、プリメーラ・ディビシオン(1部)復帰を決めたばかり、注目を集めながらもなかなかスポットが当たらないこのクラブの詳細に迫ります。

ヘタフェってこんな街

首都マドリードから南に15kmの位置にあるヘタフェ。マンサナーレス川が流れる人口約17万人のこぢんまりとした街です。1950年代にジーメンス社の工場ができたことをきっかけに都市化がスタートし、現在もマドリードで仕事を持つ人のベッドタウンとして機能しています。

愛称はアスロネス。1983年創設の新興クラブ

今シーズン柴崎が所属するヘタフェCFは、1983年に創設された新興クラブ。かつて1946年に創設されセグンダ(2部)を中心に戦ったクルブ・ヘタフェ・デポルティーボというクラブが存在したのですが、1981-82シーズンを最後に消滅しています。その後ローカルクラブが合併されて生まれ変わったのが現在のヘタフェCFです。チームカラーは青。”Azulones(アスロネス)”と呼ばれ、地元ファンに深く愛されています。

マドリードの2強が若手選手を武者修行に出すクラブ

このヘタフェCF、そのアクセスの良さから、レアル・マドリードとアトレティコ・マドリードが若手選手の多くをレンタルで武者修行に送り出すチームとして知られています。これまでにも、ルベン・デ・ラ・レーやサラビアなど白い巨人の若きタレントとして経験を積み、アトレティコ・マドリードでキャプテンを務めるガビも2004-05シーズンに在籍していました。

今シーズンもアトレティコ・マドリードからFWアマト・ンディアイエとDFエミリアーノ・ベラスケスが加入。予算規模は限られているため、今シーズンもこの2強からのレンタル移籍での補強は貴重な戦力になることは間違いなさそうです。
アトレティコ・マドリードで主将を務めるガビも、2004-05シーズンにレンタル移籍でヘタフェに所属。その後サラゴサで経験を積み、2011年に古巣へと復帰(Photo by LauraHale)

1部復帰を機にリニューアル!丘の上に立つスタジアム

ヘタフェCFの本拠地は、コリセウム・アルフォンソ・ペレス。収容人数17,000人程度と小規模ながら、1998年に完成したスペインでは比較的新しいスタジアムです。街の北側にあるこのスタジアムは、バックスタンドと一方のゴール裏スタンドが丘に沿う形で作られています。ビックゲームではチケットを手にできなかった人が丘の上に登り、金網越しに背伸びしながら観戦する「覗き見観戦」ができることでもお馴染みです。

プリメーラ復帰を機に、本拠地はこの夏に大きくリニューアル。スタンドはより深い青をベースにした配色に変わり、ピッチの灌漑設備も大きく改善しました。2シーズンぶりのプリメーラ、選手たちはホームゲームを素晴らしい環境で戦うことができそうです。
バックスタンドは丘に沿う形で作られているスタジアム(Photo by machine-readable author provided)

柴崎岳とともにチームを支えるのは

プリメーラ昇格を手繰り寄せた選手たちが主力となる今シーズンのヘタフェ。しかしながら、中盤にはニューフェイスがずらりと並んでいます。中盤の底は、長くレアル・ソシエダで活躍したベルガラと、ウルグアイからやってきたアランバリ。リーガを知り尽くしたベテランとヨーロッパデビューを飾ったばかりの若者が、汗かき役として相手チームの攻撃の芽を摘む役割を担います。

中盤の攻撃的なポジションを任されている柴崎は、右サイドのデポルティーボから移籍しモロッコ代表のファジル、左サイドの快速ウィング・アマトを従えて、攻撃のタクトを振るっています。特に、昨シーズンもテネリフェでともにプレーしたアマトとのホットラインは、2部から返り咲いたばかりのチームにとって有効な攻撃オプションの一つになっています。

バルセロナ相手に決めたプリメーラ初ゴール

ボルダラス監督の信頼を勝ち取り、開幕から4試合連続でスタメンでプレーした柴崎。フル出場こそなかったものの、きっちり守備もこなす献身的なプレーが評価されており、懸念された周囲との連携面についての問題も少しずつ改善の兆しを見せていきました。

そして迎えた第4節のFCバルセロナを迎えてのホームゲームで、ついにプリメーラ初ゴールをマークします。39分、右サイドバックからのクロスボールをベルガラがヘディングで競り勝ったところ、ボールの落下地点にいた柴崎が左足でダイレクトボレーシュート。完璧にミートしたボールは、GKテア・シュテーゲンが伸ばす手をあざ笑うかのようにゴールネットに吸い込まれていきました。

チームメイト全員から手荒な祝福を受けながら、ポーカーフェイスな柴崎も笑みをこぼした先制点。日本人が背番号10をつけることに懐疑的だったファンも、その実力を認めざるをえないビューティフルゴールを決めてみせたのです。
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バルサを相手にプリメーラ初ゴールを決めた柴崎。ヘタフェのナンバー10=GAKUが両手を広げて歓喜のポーズ(Photo by Power Sport Images/Getty Images)

実に痛い負傷離脱…戦線復帰は12月

この素晴らしいゴールを決めた直後、後半開始5分のところで突如としてプレーを止めてしまいます。プレー続行不可能と判断、謎の怪我により交代を余儀なくされました。去り際、バルサを押し込む展開を作り上げた主役の交代を惜しむかのように、スタンドからは「ガク」コールが沸き起こりました。

後日行われた精密検査の結果は左足中足骨の骨折。チームのメディカルスタッフは早期の回復を目指して手を尽くしましたが、10月上旬に手術を決行することに。手術は無事に成功に終わったものの戦線復帰は早くて12月。

2016年クラブW杯決勝の再戦となるはずだった10月14日のレアル・マドリードとの一戦も残念ながら欠場が確定。攻守に輝きを見せていた柴崎の離脱はチームとしても大きな痛手ですが、早期の復帰を願うファンからは”Animo Gaku!!(がんばれガク)”というメッセージがクラブ公式Twitterにも寄せられています。
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全治2ヶ月のケガを負った直後のビジャレアル戦。スタンド観戦する柴崎にサインを求める少年が近寄る (Photo by fotopress/Getty Images)

戦いの舞台は、カナリア諸島から首都近郊の小さな街に。大量補強を敢行したクラブの中で、柴崎岳は獲得成功例のひとつとして好意的に捉えられています。リーグ戦序盤での離脱を余儀なくされてしまいましたが、バルサ相手に爪痕を残した背番号10には、ヘタフェファンも大きな期待を寄せているのです。