ジェフL上野紗稀主将が語る仕事とサッカーの両立

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ジェフL上野紗稀主将が語る仕事とサッカーの両立

スポーティ

1992年に発足したジェフユナイテッド市原・千葉レディース(以下:ジェフL)。2009年に1部リーグに昇格をすると、2017年にはクラブとして初タイトルとなる、なでしこリーグカップ1部のタイトルを獲得しました。チームには、プロ契約の選手は一人もおらず、昼間は学業や仕事を勤しみ、夜に全員が千葉県内の練習場に集まり汗を流します。選手たちは“学業・仕事とサッカー選手”2つの顏を持っているのです。その中、昨シーズンからチームのキャプテンに就いた上野紗稀選手(23)に仕事とサッカーの両立について、そしてなでしこリーガーとして、どう日々の生活を過ごしているのか。仕事をしながら夢を追いかける上野選手のインタビューをお届けいたします。

社会人として選手としての充実感

ーー上野選手の仕事や勤務体系、そして1日のスケジュールと1週間のスケジュールを教えてください。

三井住友海上あいおい生命保険に勤めています。商品部に所属し保険のパンフレットの管理やチラシなどを制作しています。私の場合、午前10時から午後3時30分まで勤務してから、ジェフLの練習に参加をしています。練習は午後6時過ぎからスタートし、約2時間行われます。夕飯とシャワーを浴びて自宅に着くのが午後11時前になります。そして試合が日曜日に開催される場合は、月曜日に仕事をして、火曜日がお休み、水曜日から金曜日まで勤務し、土曜日がお休みになります。

ーー社会人としても2年目となりますが、仕事に対しての充実感はありますか?

とにかく保険についての勉強をしましたし、今もしています(笑)。電話対応やパンフレット制作を通じても学ぶことだらけ、日々勉強です(笑)。1日1日があっという間です。

ーーちなみにどのようにオフを過ごしていますか?

オフに予定を入れることを楽しみにしていて、友だちと美味しいものを食べに行ったりもしますが、ただ体の様子をみて家でゆっくりとしながらケアをして過ごすこともあります。また、愛犬と遊んだり、漫画を読んでいることも多いです。

ーーアスリートとして、食事面で気を付けていることはありますか?

自己管理がベースとなります。三食しっかりと食べますが、私はあまり脂肪分を取らないようにしています。それと風邪をひきやすい体質なので果物(ビタミン)を多く摂取することを意識しています。

ーーまた女子としてはファッションや美容にも気を使うこともあるのではないでしょうか?

会社はオフィスカジュアルな服装です。大学生の時はほとんどジャージでした(笑)。お洒落には敏感になったと思いますし、社会人になってお化粧を少しするようになりましたし、仕事場に合わせて服装選びをします。あとは日焼け止めの大事さを感じています(笑)。

ーー明るい性格の上野選手ですが、オンとオフ、メンタルの切り替えについては、どうしているのですか?

試合に負けたあとは切り替えるのに時間がかかることもあります。ただ次に向けた練習が始まることで切り替わります。仕事の面でもサッカーが始まれば切り替えられます。

ーー仕事とサッカーの両立で苦労している点、充実している点を教えてください。

両立することを辛いと思ったことはありません。毎日が、勉強で周りの人たちや環境も素晴らしいので充実していることの方が多いです。仕事が出来ることの喜びと、分からないことが分かることに変わる面白さを日々実感できています。自分が楽しんで出来ているので楽しいことしかありません。

ーー会社の上司や同僚の理解についてはどう感じていますか?

私がサッカーに専念出来るように優先してくれていますし、とても理解をしてくれています。同期の子が声を掛けて、みんなでスタジアムに応援に来てくれますし、部署の方々も多くの試合に足を運んでくれるので嬉しいです。だからこそ仕事では自分の出来ることを精一杯やって、そしてサッカーでも勝ち試合をして恩返しをしたいと考えています。

周りの人が喜んでくれる、その笑顔を増やしたい

ーーその中で、昨シーズン、リーグカップ1部で優勝したことを会社の方々に報告できたことについてはどうでしたか?

決勝戦は、多くの会社の方が応援に駆け付けてくれていました。ゴール裏に陣取り、そちらのゴールネットを揺さぶることが出来たので良かったです。会社の皆さんに「おめでとう」と言ってもらい感動しました。

ーー上野選手が感じるサッカーの魅力を教えてください。

プレーをしていて楽しいというのが本音です。見ていても楽しいサッカーをしたいと思いますし、個人で頑張ること、みんなで走ること、チームで意思疎通を図ってボールを取れた時や得点が入った時、勝った時の喜びはとてつもなく大きいです。その一瞬の喜びを感じるためにサッカーをやっていると言っても過言ではありません。そして最後にサポーターと喜び合えることが一番です。

ーーでは、今のチーム状況を教えてください。

リーグ戦2試合を振り返ると、勝ちをこぼした印象があります。監督からは「2戦連勝で行こう」と言われた中での2分けは満足できるものではありません。今シーズンが、スタートをする前に監督から「1対1でのフィジカルが弱いと言われました。技術がなくても気持ちで勝てる部分もまだまだある」と言われました。ただ、こぼれ球に行けるようになったこと、球際で取れるようになっていること、ボールを持ったらゴールを目指すことは成長している部分です。

さらに高みを目指す、その先にあるものとは

ーー今シーズンのチームとしての目標を教えてください。

目の前の1戦1戦をチームで意識しています。1つの勝ちにこだわっています。そして昨シーズン以上の成績を(リーグ戦7位、カップ戦優勝、皇后杯ベスト4)を残すことを目標にしています。自分が失ったボールはどこまでも追いかけ気持ちを前面に出したいです。技術云々の前に気持ちを出さないと戦えません。キャプテンとして自分が気持ちを出せばみんなは付いてきてくれると思っています。将来的には背中で引っ張っていける選手になりたいです。

ーー最後に上野選手にとっての目標を教えてください。

1番の目標は東京五輪に出場すること。チームの中で自分が出来ることを積み上げれば大きな目標に届くと思います。