ジェフL 鴨川実歩が語る学業とサッカーの両立

ジェフL 鴨川実歩が語る学業とサッカーの両立 WATCH

ジェフL 鴨川実歩が語る学業とサッカーの両立

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“学業とサッカーの両立”をテーマにしたこの企画では、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース(以下:ジェフL)の選手にスポットを当て、それぞれの熱い思いを語ってもらっています。

シリーズ第7弾となる今回は、鴨川実歩選手(21)に登場をしてもらいました。チームに加入した当初に10番を背負い、信頼してもらっている中で、その期待に応えられず、自分のサッカーを表現できなかったこと、応援してくれる人たちへの申し訳なさ、自分に対しての不甲斐なさを感じ、サッカーを楽しめない時期もあったと言います。

周りの人に支えられながら、個人としてメンタルも身体的にも成長をして、ひと回り成長をした姿があります。大学で学んでいることを、ピッチで体現し、サッカーを突き詰めるなか、今シーズンから再び10番を背負い「ワクワクする」と柔和な笑顔には、並々ならぬチームを引っ張る覚悟が滲み出ていました。

サッカーに成長をさせてもらっている


ーー鴨川選手の学業について、そして1日のスケジュールや1週間のスケジュールを教えてください。

私は、筑波大学体育専門学群に通い、運動学、生理学、バイオメカニクスなどを勉強しており、現在は体育測定評価学をする研究室に所属しています。先輩には、浦和レッドダイヤモンズレディースの安藤梢選手、同級生には、松本真未子選手、後輩には、南萌華選手がいます。指導していただける先生にも恵まれ、大学に通っていることで社会的に見るスポーツの在り方などを知ることができました。現在、大学4年生です。それほど授業数は多くはありませんが毎日研究室に通って勉強をしています。空いている時間は自己トレーニングなどをして調整をしていて、週4日から5日、練習場に通いチームでトレーニングを(午後6時過ぎから約2時間)行っています。

ーー既に卒業論文のテーマなどは考えているのですか?

速攻を戦術的に分析するテーマをベースに、シュートやセットプレーなどを多角的に考えて自分のプレーの足しになることを考えているところです。海外ではポゼッションプレーよりも速攻の形が多いので、速攻の達成度評価の研究をしたいと思っています。

ーーこれからの進路については、どう考えていますか?

第一志望として、筑波の大学院を目指していて、勉強をしているところですね(笑)。将来はサッカーに携わる仕事がしたいと思っています。

ーージェフLで経験を積んでいますね?

高校1年生の時から、このクラブにお世話になり7年目となります。高校の部活動でサッカーをする選択肢もありましたが、ジェフLから熱心に誘っていただき加入をさせていただきました。加入した当初は、苦しい時期もありました。なでしこリーグの厳しさも知らず、高校生の新人が「10番」を付けることで、プレッシャーも感じました。周りの評価も高く、それに応えられないもどかしさも大きく、自分がどう成長していいか分からないなどメンタルの弱さがありました。「今週、良いプレーが出来るのか」という不安ばかりでしたが、今はめちゃくちゃ楽しいです(笑)。

ーーサッカーをめちゃくちゃ楽しめるている、そのサッカーの魅力を教えてください。

入ったばかりの頃は、試合に出ることが楽しく、ベンチにいるのが悔しいと思っていたのですが、メンタルのブレがなくなりました。例えば、ベンチスタートでも自分のことを見つめ直し考える時間になっています。今は純粋にサッカーが上手くなりたいと思っていますし、もっと上に行きたいと思っているので、きつい練習でも楽しめています。サッカーに成長をさせてもらっている気がしています。

ーー10番、20番、7番と背番号が変更され、今シーズン、10番を再び付けますが感想を教えてください。

今シーズンから10番を付けることでワクワクしていますし、チームメイトの支えがあってこそ10番を付けられると思っているので、心から感謝をしています。ただプレーに良い時と悪い時の波があるので10番として成長をしなければいけません。

ーーサッカーを始めたきっかけを教えてください。

父の影響で始めました。幼稚園の時からボールを蹴り始め、本格的に始めたのは小学1年生の時からです。基本的に負けず嫌いですが、悪く言えば自己中心的な選手でした。あの頃は、周りのことをまったく考えない生意気な子どもでしたね(苦笑)。

ーーオンとオフの切り替えも大事だと思いますが、その中で趣味がサーフィンだと聞きましたが、かなりの腕前なのですか?

サーフィンも父の影響しかないです(大笑)。実家から海まで車で5分。サッカーについては言われないのですが、父はサーフィンについては口を出してきますね(笑)。ただ今は1年に一度ぐらいしかサーフィンが出来ていないので残念です。

ーーファッションや美容についても気を使うことはあるのではないでしょうか?

お洒落や美容もめっちゃやっていると言いたいのですが波がありますね(笑)。物欲に対しても波がありますね。

ーー食事面で気を付けていることを教えてください。

一時期はストイックになり、甘いモノは食べないなどの食生活を送っていましたが、最近は玄米を中心とした食生活を心がけていますし、一人暮らしをしていることもあって、母が家に来て料理を作ってくれています。今はトレーニングの強度を上げるためにバランス良く食べることに注意しています。

ーー学生とサッカー選手の両面を持っていますが、その両立で苦労している点、充実している点を教えてください。

苦労している点はありません。逆に充実度が半端ないですね。授業で学んでいることが、そのままサッカーに繋がっています。

立ち止まらない

ーーシーズン序盤を振り返ると、どんな印象が残っていますか?

リーグ戦では、大事な時に勝てていないことが課題なのですが、第2節ノジマステラ神奈川相模原戦のように1-0で試合を締めることが出来ていることはポジティブな面ですが、第3節伊賀フットボールくノ一戦では、0-4で大敗をしました。以前までの私たちなら負けを引きずっていたのですが、しっかりと切り替えて前を向いていられることも良かった点です。個人としては、常に良いプレーをして、来場してくれるお客さんのために面白いプレーをしたいです。しかし、まだ1得点。ゴールに絡むプレーが出来ていないのが現状です。藤井奈々監督が就任し、蹴って走るサッカーではなく、チームとしてつなぐサッカーを目指しており、少しずつ成長をしている手応えはあります。

ーーリーグ戦で上位に食い込んで行くためには、どんなことが必要になりますか?

なぜ上手く行かないのかを考えて、自分たちで解決することを考えることが大切です。藤井監督は、私たちに個の成長を求めています。個が成長することでチームは強くなると思っています。判断の部分でも、ここで”速攻なのか、組み立て直すのか“を状況により適確な判断をし、ゴールに向かう姿勢を見せて行きたいと思っています。

ーー鴨川選手のストロングポイントを教えてください。

ドリブルで抜いてシュートを決めること、歓声が沸くプレーをしたいですし、良い意味で期待を裏切るプレーをしたいですね。

ーー理想とする10番像はありますか?

メッシ(アルゼンチン代表)ですね。メッシがドリブルをすることで、周りが動きやすくなります。メッシが速いので、ディフェンスも下がらざる得ない状況となり、周りの選手は前向きで走れます。ドリブルだけになると、相手は守りやすくなります。周りを上手く使えて、周りを見ながら自分も生きる選手になりたいですね。

ーーフォワード、右サイド、ボランチなどを経験してきていますが、自分の中で、こだわりのポジションはありますか?

トップ下で前を向いて、ドリブルでボールを運ぶプレーを楽しいと感じています。真ん中で駆け引きをして裏に抜けたりすることが好きです。右サイドでプレーをしても、クロスを上げることも好きですし、与えられたポジションでプレーをするだけです。また複数のポジションをこなすことでプレーの幅が増えていると思っています。

ーーポジション争いもありますが、競争についてはどう考えていますか?

チームには、それぞれの特長を持つ選手がいますし、調子の良い選手が試合に出るべきだと考えます。自分は、その勝負に負けないように、しっかりとプレーをするだけで、常にコンディションを維持してアピールをしたいと思っています。前目のポジションなので得点は求められます。1試合3得点をするイメージで練習をしていますが、まだまだ足りないことばかりで、もっとやらなければいけません。3得点をすると言っておいて、取れていないので格好悪いんですけど(笑)。ただ、口に出すことで自分にプレッシャーをかけていますし、口に出さなければゴールは取れないと思っているので口に出すようにしています。

ーー今シーズンのチームの特長について教えてください?

これまでジェフLを背負ってきてくれたベテラン選手が、チームを離れたことで、逆に自分たちに覚悟が芽生えました。先輩に頼っていた部分もあったので“やらないといけない”と言う気持ちが出ています。それが今のチームの強みです。

ーー最後に今シーズンの目標を教えてください。

リーグ戦は3位以内を目指します。リーグ戦はシーズンを通して勝ち続けることが大事です。チームとして現状維持では上位にはたどり着きません。1試合1試合を通して成長することが重要だと思っています。また個人としは成長を続けるためにも”立ち止まらないこと“を意識して、二桁得点を目指して頑張ります。