ジェフL成宮唯が語る仕事とサッカーの両立

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ジェフL成宮唯が語る仕事とサッカーの両立

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“仕事とサッカーの両立”をテーマにしたこの企画では、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース(以下:ジェフL)の選手にスポットを当て、それぞれの熱い思いを語ってもらっています。

シリーズ第10弾となる今回は、成宮唯選手(24)に登場をしてもらいました。2012年FIFAU-17女子ワールドカップに出場し、チームをベスト8に導くと、2017年にジェフLに加入。攻撃の起点として活躍するも、2018年のシーズン途中に大きな怪我を負ってしまいます。

苦しいリハビリを乗り越え、約10カ月ぶりにピッチに立つと、第10節ノジマステラ神奈川相模原戦では、得点を決め完全復活をアピール。

自身の“生きがい”だというサッカーと仕事を両立させながら、選手として社会人として成長を続ける成宮選手に話を伺いました。

共通するのは責任感

ーー成宮選手の仕事の内容について、そして1日のスケジュールや1週間のスケジュールを教えてください。

私は、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社千葉支店で働かせてもらっています。主な仕事内容は、会議の書類作成や他部署への案内などになります。基本は週3日午前10時から午後3時まで勤務し、午後6時から始まるチームのトレーニングに向かい、週末は試合というのが日常です。

ーー仕事が競技に生かされていると感じる部分はありますか。

それは責任感です。与えられたことを最後までやりきることの大事さを知ることができました。また、私の部署はとてもアットホームなところで、周りの方が仕事とサッカーの両立をサポートしてくれています。上司には「今後、活かすことができるよ」と損害保険の一般試験受験を勧めてもらい、受験をして無事に受かることができました。

ーーちなみにオフはどのように過ごしているのですか。

あまり出かけること好きではありません。体のメンテナンスのために整骨院に行くこと、日用品の買い物をすることがメインです。8月から犬を飼っているので、家に居ることの方が多いかもしれませんね。癒されますし、超可愛いです!

ーー日々の食生活で注意していることはありますか?

疲労を感じる時は、ビタミンなどの栄養を多めに摂ることを意識しますが、好き嫌いがないので基本は食べたいものを食べます(笑)。また料理が好きなのでしっかりと作ることを心がけています。

ーー得意とする勝負メシがあれば教えてください。

試合の日の朝は、しょうが焼き、卵焼き、味噌汁、ご飯、納豆ですね。バスでの移動中にお弁当箱に入れてもっていく場合もあります(笑)。

ーーお洒落な一面も感じ取るのですが、ファッションや美容・健康についてはどうですか?

ファッション誌は、美容院にいった時にしか読まないのですが、やはりジャージを着ている場面が多いですし、ジャージが一番似合うかもしれませんね(笑)。それこそ10代の頃は、日焼けをしていた方がいいかなと思っていましたが、今はしっかりと日焼け止めを塗るようにしています。

ーーでは、仕事とサッカーの両立について、充実している点を教えてください。

規則正しい生活はもちろんのこと、サッカーを離れることで頭と気持ちのチャンネルを変えることができます。また社会人として色々な職種の方とお会いすることも多いので社交性も磨かれます。サッカーだけをやっていたら出会えない、分からないことも、たくさんありますし、本当に良い経験をさせてもらい充実している毎日を過ごさせていただいています。

生きがい

ーーサッカーを始めたきっかについてお伺いします。

2人の兄の影響もありますが、父がサッカーをしていたことが大きいですね。小学2年生の時に、地元(京都市)の少年団で始めました。私の周りには、上手な子がたくさんいて、その内の1人が中高一貫教育のJFAアカデミー福島*¹を受けることになっていました。私も力試しに受験をしてみたら一次選考試験をパス。そこから、行きたくない気持ちが、行きたいに変わり最終選考試験にも合格することができました。ただ親元を離れての生活ではホームシックにもなり、母に怒られ、お尻を叩かれながら、何とか卒業(2期生)することができました。思い返せば若気の至りですね(苦笑)。


*¹日本サッカー協会が福島県、広野町、楢葉町、富岡町と連携して中学・高校時代の6年間を対象にサッカーエリートを養成するシステム。地元の公立学校に通学し放課後にJヴィレッジアカデミーでサッカーやその他教育を受ける。

ーーそして、ベガルタ仙台レディースやスペランツァFC大阪高槻を経て、ジェフL(2017年)に加入し、現在に至っていますね。

ジェフLに来たことで、自分のウィークな面にも向き合えるようになりました。これまでは泥臭いサッカーをしたこともありませんでしたし、藤井奈々監督の指導によりプレーの幅も広がったと感じています。

ーーその中、2018年のシーズン途中に大きな怪我(右膝前十字じん帯損傷)を負うことになりましたね。

怪我をする前よりも、力強く走り切る体力も付いてきたと思っています。守備でチームに貢献する部分も出せていると感じます。以前は奇麗なプレーを目指し、泥臭いプレーに目をつぶっている自分がいましたが、今はそこに目を向けられています。(復帰までの10カ月)手術をし、新シーズンを迎えたあとに焦りもありましたが、家族やスタッフ、そしてチームメイトに支えられて現在があると思っています。

ーー5月11日・第8節浦和レッドダイヤモンズレディース戦が復帰戦となり、8月31日・第10節ノジマステラ神奈川相模原戦が復帰後初得点となりましたね。

徐々に徐々にプレータイムを増やすことを藤井監督も考えてくれましたし、復帰後のゴールについては感極まるものはありました。自分の体と相談をし状態を確認しています。膝を気遣ってのプレーはストレスも感じますが試合になるとアドレナリンも出て忘れてしまっています(笑)。

ーー藤井監督には、どんなことを引き出してもらったのですか。

苦手だったヘディングシュートについては、今年ほど練習をしたことはありません(笑)。最近、よく言われていることが、フィニッシュの精度を上げるためにバイタルエリアでピタリと止め得意な形に持って行くことや最後のギリギリの部分で判断を変えることです。藤井監督は常に選手のことを見ていて、その都度、小さなヒントを与えてくれます。だからこそ出来ることが積み重なっていると感じます。もちろん時には厳しい言葉や激も飛んできますが、個々が取り組むべきことへの自覚を促してくれています。

ーー着実に成長をしていると感じますが、どんな選手になりたいと考えているのですか?

前線の選手なのでボールを持ったらゴールを意識し、得点も取れ、周りを生かせる。そして守備もできる選手です。特にジェフLの場合は前線からの守備が生命線ともなっているので、プレスをかける運動量は惜しまずに周りと自分が生きるプレーを増やしたいと考えています。

ーー成宮選手にとってサッカーとはどんな存在なのでしょうか。

生きがいです。常にサッカーがそばにあり、ここまで成長をさせてもらいました。サッカーがなければ現在の私はないと思っています。

最後は気持ちの勝負

ーー2019シーズンを5位・勝点26(7勝5分6敗)でフィニッシュしましたが振り返ってみてください。

ベスト3を目標としていましたが、5位という結果は悔しく残念なものとなりました。上位3位以内に食い込むためには、引き分けを勝ちに、負けを引き分けに持っていく力がなければ食い込めません。自力で3位を狙えたにも関わらず、自分たちの手で落としてしまいました。それはチーム、個人の弱さでもあります。あと一歩の勝ち切る力が足りなかったシーズンでした。最終節の浦和L戦(0-2)でも、前半のチャンスを決め切れていれば勝てる試合でした。決定力不足が問題点であって、あと少しの詰め、1つのチャンスを決め切らなければ上位進出はできません。来シーズンは最低でも3位で終われるような結果を残したいと思います。

ーーその一方で、手応えの部分もあると思いますが教えてください。

チームには若い選手も多いので、伸びしろがあります。実践しているサッカーに対し、一人ひとりが手応えを感じていると思います。(連動面については)前線から守備のスイッチが入れば連動はできますし、特に左サイドはコンビネーションで崩せる場面も増えています。そこで質を上げ、もっと多くの人数が絡めればワンランク上のサッカーになると感じます。

ーーリーグ戦150試合出場を達成しましたが、率直な感想を教えてください。

高校1年生の時からチャレンジリーグで経験をさせていただきました。なでしこ1部での試合数もそれほど多くはないので誇れません。苦しいことも多かったのですが200試合を迎える時のために、良い思い出や記憶に残る試合を増やしたいですし、私にとって150試合は新たなスタート地点です。











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