13回目を迎えた東日本大震災復興支援チャリティーマッチ

13回目を迎えた東日本大震災復興支援チャリティーマッチ WATCH

13回目を迎えた東日本大震災復興支援チャリティーマッチ

スポーティ

試合前の国家斉唱に整列したオールネーションズ選手たち(撮影:山下照子)

2023年12月2日、神奈川県のサーティーフォー相模原球場で第13回東日本大震災復興支援チャリティーマッチが行われました。一般社団法人オールネーションズが毎年開催しているイベントです。

今年も元プロ野球選手や、日本及び海外の現役独立リーグ選手ら、バラエティ豊かなバックグランドを持つ野球人が集まり、ハイレベルな攻防を披露するとともに、被災地支援のための募金活動が行われました。

野球人だからこそできる貢献とは

このイベントは2人の野球人の熱い思いから始まりました。あの大震災が起きた2011年、被災者遺族の友人を持つ李剛氏(横浜商業高校前監督)は野球用具や支援金を募って被災地に送る活動を始め、かねてから李氏と親交があったオールネーションズ代表の三好貴士氏もチャリティーマッチや被災地での支援活動を始めていたのです。

「何かぼくら野球人にできることはないかと考えたのです。最初はこのチャリティーマッチも河川敷でやっていました。毎年続けることの大切さを感じます」と李氏は私に話してくれました。

イベントは回を重ねるごとに規模が大きくなり、多くの参加者と賛同者が集まるようになってきたのだそうです。

世界を知る野球人たち

今年の試合は各地の独立リーグに所属する連合チーム(ビジター)対主催者オールネーションズ(ホーム)という形式で行われました。

オールネーションズの監督は代表でもあり、現在はMLBミネソタ・ツインズ傘下2Aでベンチコーチを務める三好氏。現地叩き上げの指導者として、メジャー組織で「日本人初」の壁を次々と破っている人です。

三好貴士オールネーションズ監督(撮影:山下恭平)

同法人に所属する安田裕希選手田久保賢植選手については以前の記事でも紹介しました。この日も2人とも先発ラインアップに名を連ねました。安田選手がセカンド、田久保選手はショートで、鉄壁の2遊間コンビです。

左が田久保賢植選手、右が安田裕希選手。(撮影:山下恭平)

安田選手はアメリカ、カナダ、オーストラリア、メキシコの独立リーグで選手経験があり、田久保選手のそれはアメリカ、日本、オーストラリア、カナダ、チェコ共和国、オーストリアの6か国に及びます。田久保選手は今年のWBCではチェコ代表チームのコーディネーターとしてチームに帯同しました。

この日1番レフトで先発出場した中村太一選手はアメリカの独立リーグで挑戦を続けています。

中村太一選手(撮影:山下照子)

彼ら「海外組」に加えて、オールネーションズのベンチには日本プロ野球、独立リーグ、女子硬式野球など、様々な場所でプレイ経験がある選手たちが顔を揃えました。オールスター戦のように、それぞれが所属したチームのユニフォームを着用しての登場です。

対するビジターチームは日本各地の独立リーグに所属する選手で構成された連合チーム。現役選手が多く、チーム平均年齢はぐっと若かったのではないでしょうか。こちらも色とりどりのユニフォーム姿で勢ぞろいしました。

独立リーグ連合チーム(撮影:山下恭平)

試合が始まると、さすがはプロ同士の真剣勝負。もちろん、公式戦のような緊張感はないのでしょうが、それでも目を見張るようなレベルの高いプレイが連続しました。

元千葉ロッテマリーンズの守護神、荻野忠寛投手(撮影:山下恭平)

試合中にも行われたチャリティー活動

一風変わった選手も登場しました。かのアーロン・ジャッジと同じ、ヤンキーズの背番号99番をつけた角谷剛選手がオールネーションズの代打として打席に立ったのです。アメリカの草野球界を代表して、というのはウソです。チャリティー活動の一環として、一般人が1打席だけ出場できる特別チケットを購入したというのが真相です。

対する連合チームの投手は小林亜由良選手(宮崎サンシャインズ、徳島インディゴソックス)。現役プロ投手とはいえ、同じ人間です。私よりたったの32歳年下で、身長だって27cmしか高くありません。投球練習の速球を見てビビりましたが、何とかなるだろうという不遜な気持ちもありました。

角谷剛選手(撮影:山下恭平)

しかし、やはりと言うか、当たり前と言うか、まったく歯が立ちませんでした。ファールを2本続けた後で、あえなくセカンドゴロに倒れてしまいました。それでも、思い切り全力のフルスイングを3回振るという目標は達成できたので大満足でした。心優しいプロ選手たちがベンチ前に総立ちで迎えてくれました。

他にも、募金箱を持った選手たちがスタンド内を回り、スタンドからグランドに投げ入れるボールを販売するなどの活動も行われました。支援金はすべて被災地に寄付されるとのことです。

試合後の野球教室

試合後には参加選手たちによる子ども向けの野球教室が行われました。数人から数十人くらいのグループごとに分かれ、それぞれが打撃や守備のテーマごとにプロから教わるという形式です。

野球教室の様子。(撮影:山下恭平)

私は草野球選手であると同時に指導者の端くれでもあります。とても興味があったので、 すべてのグループの様子を見て回りましたが、選手の皆さんの指導の上手さと教える内容のレベルが高いことに感心しました。できれば子どもの頃にこんなことを教わりたかったな、とまで思いました。

野球というスポーツを通じて、子どもから大人まで絆を深めることができる素晴らしいイベントでした。尚、今回の写真はすべて山下恭平さんと山下照子さんのご夫妻に提供して頂きました。深く感謝いたします。

オールネーションズ公式ウェブサイト:https://anbb2011.com/

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