ニューヨーク・シティFCで大歓迎 ダビド・ビジャとマンCグループの国際戦略
WATCHニューヨーク・シティFCで大歓迎 ダビド・ビジャとマンCグループの国際戦略
今年1月「アメリカサッカーが変わる?! ニューヨークシティFCってこんなクラブ」でも取り上げた2015年よりメジャーリーグサッカー(以下「MLS」)に参入する「ニューヨーク・シティFC」。その後、クラブの公式エンブレムや来シーズンの開幕時はヤンキースタジアム(MLB ニューヨーク・ヤンキースの本拠地)でプレーすることなどが発表されました。
そしてクラブ初の契約選手として、スペイン代表歴代最多得点を誇り、バレンシア、バルセロナ、アトレティコ・マドリードなどでも活躍した「超大物」ダビド・ビジャの加入が発表されました。これを受けてニューヨーク・シティFCの公式サイトは独占インタビュー、Twitter上での反応まとめ、フォトギャラリー、契約のニュースなどビジャに関する話題一色となっています。(写真はニューヨーク・シティFC 公式サイトより)
さらにはサイト上にとどまらず、タイムズスクエアなどニューヨークのど真ん中でビジャをフィーチャーした広告展開が開始されているようです。ビジャもこの歓迎ぶりに心を動かされたか、自らのTwitterアカウントで紹介しています。
Thanks to all of you for so many kind messages of support and welcoming me to @NYCFC! pic.twitter.com/dYdfJ9DxeM
— David Villa (@Guaje7Villa) 2014, 6月 3
ニューヨーク・シティFCのSNSアカウントでも、広告展開の模様が積極的にアップされています。
.@Guaje7Villa overlooking @TimesSquareNYC.
Witness him in action. Get your season tix now: http://t.co/q4Gwdikhcs pic.twitter.com/8kz0ieOtPa
— New York City FC (@NYCFC) 2014, 6月 3
こうしてニューヨーカーの期待を高める、ニューヨーク・シティFC。しかし広告に「WITNESS at YANKEE STADIUM in 2015(2015年、ヤンキースタジアムで見逃すな)」とある通り、ニューヨーク・シティFCの初戦は2015年3月(MLSは春開幕)です。
まだまだ先と言えるこのタイミングでの契約発表は「ニューヨーク・シティFCの選手」としてブラジルW杯でスペイン代表・ビジャが登場することで、世界中にクラブの認知や価値を高める狙いがあるのではないでしょうか。
オーストラリア移籍とシティ・フットボール・グループの国際戦略
しかし気になるのは、この大会をもってスペイン代表としての引退を示唆しているブラジルW杯終了後から、2015年3月のニューヨーク・シティFCの参入初戦まで7〜8ヶ月ほどの間、ビジャは実戦から遠ざかること。そのブランクの間、彼はどこでプレーするのでしょうか?
そのひとつの解決策が、意外にも「オーストラリア」から報じられました。これは今年1月にマンチェスター・シティが、Aリーグ(オーストラリアのプロサッカーリーグ、秋開幕)のメルボルン・ハートFCの株式80%を取得したということが理由とされています。
ニューヨーク・シティFCもマンチェスター・シティFCとニューヨーク・ヤンキースが手を組み設立したクラブであり、メルボルン・ハートFCとニューヨーク・シティFCはいわば姉妹クラブ。Aリーグの「ゲストプレーヤー」制度を活用し、メルボルン・ハートFCに短期で在籍することもあり得るのでは、とオーストラリアの通信社「AAP」やメルボルンの地元紙「ヘラルド・サン」の記者などが指摘していました。
その報道通り、6月5日ビジャのメルボルンへのレンタル移籍(2014年10月〜12月)が発表され、さらに日を合わせて「メルボルン・ハートFC」から「メルボルン・シティFC」へのクラブ名改称も発表されました。メルボルン・シティFCのYouTube公式アカウントでは早速ビジャのインタビュー動画がアップされています。
この動画のビジャの服装・髪型、背景などを踏まえると、このインタビューは記事前半でご紹介したニューヨーク・シティFC入団時のインタビューと同じ機会に行われたものと推測されます。ひとつひとつのビッグニュースをまとめて出さずに、小出しかつ立て続けに発信し続けるマンチェスター・シティFCを中心とするシティ・フットボール・グループ(CFG)。情報発信の面でも入念に連携を図っていることが伺えます。
W杯前で盛り上がるこのタイミングで、世界を股にかけたサッカー界へのインパクトは抜群。今年5月には日産自動車と横浜F・マリノスともパートナーシップを締結するなど着々と勢力を拡大中のCFGからは、今後も目が離せません。