独立リーグ観戦ガイド -上編-
WATCH独立リーグ観戦ガイド -上編-
日本に独立リーグが初めて発足して今年で14年。現在、国内には独立リーグが3つあり、各々地域に密着した運営を行っています。今回は、この中から四国アイランドリーグplusと関西独立リーグ及び派生したリーグを紹介します。
日本で初の独立リーグ、四国アイランドリーグplus
四国アイランドリーグplusは、日本で最初の独立リーグとして、香川オリーブガイナーズ、愛媛マンダリンパイレーツ、徳島インディゴソックス、高知ファイティングドッグスの4球団で2005年からリーグ戦を開始しました(発足当初のリーグ名は「四国アイランドリーグ」)。
そして2008年には、新たに2球団ができ参入します。それは九州からで、福岡レッドワーブラーズと長崎セインツです。これに伴いリーグ名も四国・九州アイランドリーグへと変わりました。6球団でのリーグ運営もつかの間、財政難から福岡レッドワーブラーズが2009年限りで活動を休止し、長崎セインツも2010年限りで撤退します。
翌2011年からは、リーグ名を現行の四国アイランドリーグplusとし、三重県を本拠とする三重スリーアローズ(詳細は後述)が参入するも、この年限りで撤退。長崎セインツ、三重スリーアローズは、球団そのものは解散し、現在は存在しません。福岡レッドワーブラーズは、休止扱いの準加盟球団として暫くは、リーグの公式HPにも記載がありましたが、現在は記載がなくなっています。
2012年以降は発足当初の4球団での運営体制となり、現在に至ります。
運営面での特徴
前後期制を採用しています。前後期それぞれの優勝チームによりリーグチャンピオンを決めます。そして、リーグチャンピオンがルートインBCリーグのチャンピオンチームと独立リーグ日本一を決める独立リーググランドチャンピオンシップも開催されます。
現在は、福岡ソフトバンクホークス(三軍)との定期交流戦に加え巨人(三軍)との交流戦も公式戦に組み込まれています。
2015年と2016年は、6・7月に公式戦を中断し、リーグ選抜チームを北米へ派遣し、現地の独立リーグ・カンナムリーグと交流戦をしていました。カンナムリーグは、アメリカ東海岸北部からカナダにかけてのエリアでリーグ戦を行う独立リーグです。約1か月の間、現地でみっちりと試合を行い、レベルアップを図る試みは斬新でした。
2017年以降、北米遠征は行われていませんが、6・7月は公式戦を中断するというスタイルに変わりはありません。しかし、独立リーググランドチャンピオンシップでは2017年は辛うじて徳島インディゴソックスが制するも、2018年はルートインBCリーグ優勝の群馬ダイヤモンドペガサスの前に香川オリーブガイナーズが敗戦。
また、NPBドラフトの指名選手では、四国アイランドリーグplusよりルートインBCリーグの方が、指名選手が多いという現象も起きています。レベルアップを図る意味での公式戦の在り方の再考の必要はありそうです。
一度は行ってみたい四国の野球場
四国アイランドリーグplusでは、NPBでは使用しないような球場でも公式戦を行います。この中からアクセスのよい球場と秘境的な球場をいくつか紹介します。
・オロナミンC球場(徳島県鳴門総合運動公園野球場)
LED化された照明灯があり、ナイターでも試合が見やすく快適です。JR鳴門線の最終列車に乗れば徳島市内に戻ることも可能。近くの観光地に大塚国際美術館や鳴門海峡などがあります。JR鳴門線鳴門駅から徒歩約20分。
・JAバンク徳島スタジアム(徳島県蔵本公園野球場)
JR徳島駅から普通列車で2駅。徳島市街の近郊で、JR徳島線蔵本駅下車徒歩約10分。地方球場の中でもアクセスのよい球場です。急なスタンドはかつての大阪球場を彷彿させてくれます。
・レグザムスタジアム(香川県営球場)
高松市郊外の瀬戸内海に面した総合運動公園内にあり、第2球場もあります。すぐ近くに海と山があり自然環境は抜群です。四国アイランドリーグplusのナイターが開催される際、6基ある照明灯のうち2基は消灯(試合に必要な照明は確保)させており、独特の雰囲気を醸し出しています。
アクセスはJR高松駅前からことでんバスの下笠居線弓弦羽行で約30分、小坂運動公園前下車すぐ。なお、昨シーズンは試合開催日の大半でシャトルバスが運行されており、シャトルバスの時刻など詳細は香川オリーブガイナーズ球団公式HPで確認が必要。
・志度球場(香川県さぬき市志度総合運動公園野球場)
香川県西部の瀬戸内海に近い長閑な讃岐平野にあります。ナイター設備はなし。JR高徳線志度駅、高松琴平電鉄志度駅から徒歩約20分程度。志度駅周辺にも讃岐うどんを食べられる店は多いですが、筆者のお勧めは球場への途中国道11号線沿いにある「山」です。球場へ行く前に立ち寄りたい。
・坊っちゃんスタジアム(愛媛県松山市)
四国の中でも最も素晴らしい球場で毎年NPBの公式戦も行われます。ゆたりと座席に座り観戦ができます。球場内にはミュージアムもあります(入場無料)。アクセスも良くJR予讃線で松山駅から一つ目の市坪駅下車すぐ。また、公園内にはマドンナスタジアムもあります。
・三好市吉野川運動公園野球場(徳島県三好市)
ここからは秘境的な球場です。徳島県は山間部の吉野川沿いにある球場です。JR土讃線阿波池田駅から自動車又はタクシーなどの利用をお勧めします。大歩危や小歩危など観光スポット、また秘境駅で有名なJR坪尻駅も近くにあります。四国を歩く際にはお立ち寄りいただきたい球場です。
・四万十スタジアム(高知県四万十市安並運動公園野球場)
高知県も西部にある四万十市。また四万十スタジアムでの試合開催は1試合程度しかないため、なかなか狙って行くことは不可能に近いですが、機会があれば行ってみたい球場です。土佐くろしお鉄道の中村駅から自動車又はタクシーなどの利用をお勧めします。
関西独立リーグと派生していった各リーグ
関西独立リーグは、2009年に日本で3番目に設立され、関西地区を中心とした独立リーグです。人口も多く野球人気も盛んな地域だけに期待もされましたが、開幕から間もない時期に選手らへの給料未払や運営会社の撤退が起こり、且つ観客動員も期待外れに終わり細々と続いていき、別のリーグを派生させるなどしていきました。選手は無給でプレーする独立リーグとして現在まで続いてきています。
開幕当初に存在した球団は紀州レンジャーズ、大阪ゴールドビリケンズ、明石レッドソルジャーズ、コリア・ヘチ(後にソウル・ヘチに改称)の4球団です。明石レッドソルジャーズ、ソウル・ヘチ、神戸サンズ、神戸9クルーズ、大阪ホークスドリームス、兵庫ブルーサンダース、06ブルズ、大和侍レッズなども新規加入しましたが、この中では06ブルズと兵庫ブルーサンダースを除いて撤退、解散しています。
大阪ゴールドビリケンズは関西独立リーグを2009年に脱退し、新規加入予定だった三重スリーアローズと2球団でジャパン・フューチャーズ・ベースボール・リーグを結成し、2球団で公式戦をしながら四国アイランドリーグの球団と交流戦も行っていました。
しかし翌2010年、球団内での野球賭博が発端となって大阪ゴールドビリケンズは解散することとなり関西独立リーグから派生したジャパン・フューチャーズ・ベースボール・リーグも2年で幕を閉じてしまいます。残された三重スリーアローズは2011年、四国アイランドリーグplusに参入するものの、この年限りで活動を終了します。
ところで、関西独立リーグに06ブルズが新規参入したのは2012年ですが、監督は大阪ゴールドビリケンズで監督を務めていた近鉄バファローズOBの村上隆行氏(今年は、中日ドラゴンズ一軍打撃コーチに就任)です。
この関西独立リーグも活動は、2013年限りで消滅となるのです。というのも、兵庫ブルーサンダース、06ブルズの2球団は関西独立リーグを脱退し新規球団の姫路Go To WORLDを加え3球団で2014年からベースボール・ファースト・リーグを発足させ、リーグ戦を行います。
紀州レンジャーズは関西独立リーグ消滅後、解散します。しかし、新たに発足させたリーグですが、姫路Go To WORLDは活動が立ち行かなくなり休止(後に解散)、新たに和歌山ファイティングバーズが発足します。
そして、今年2019年は新球団として堺シュライクスが加わり4球団となることとリーグ名をベースボール・ファースト・リーグから関西独立リーグに改称することが既に発表されていますが、これは2009年に日本で3番目の独立リーグとして発足した関西独立リーグとは全く異なる組織です。
今後、どのような動きがあるかは注目したいところです。