ジェフL 船田麻友が語る仕事とサッカーの両立

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ジェフL 船田麻友が語る仕事とサッカーの両立

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“仕事とサッカーの両立”をテーマにしたこの企画では、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース(以下:ジェフL)の選手にスポットを当て、第1弾は上野紗稀選手、第2弾は佐藤瑞夏選手、第3弾は深澤里沙選手に登場をしてもらいました。

そして、今回はチームのゴールマウスに鍵をかけるGK船田麻友選手(27)にインタビュー。
職場でもサッカーでもコミュニケーションを大切にしている船田選手。チームの中では先輩と後輩をつなぐ架け橋としての役割が求められています。古巣に復帰した決意となでしこの認知度をさらに上げること、そして後半戦に向けての意気込みを語ってもらいました。

“なでしこ”をもっと広げる

――現在の仕事の内容、そして1日の予定や1週間の流れを教えてください。

医療法人社団淳英会”おゆみの中央病院リハビリテーション科 外来リハビリテーションに勤めています。理学療法士が施術等をし行く中で、リハビリ助手として運動指導をメインに行っています。勤務体系は週に4日。朝の10時から午後3時まで働いています。病院側もバックアップをしてくれており、恵まれている環境なのでありがたく感じています。

――患者さんと接する時に、一番注意しているのはどんな点ですか?

患者さんの表情を見ながら負荷がかかりすぎていないかに注意を払い、そして常に笑顔でいることを心がけています。また、しっかりとコミュニケーションを取りながら、スタッフ間で情報を共有することも大切な要素の1つです。その中で、患者さんがファンになってくれたことが一番嬉しいことですね。リハビリの施術中に「ジェフLでプレーをしています」という話になると、患者さんから「頑張って!」と声をかけてくれます。実際に試合を観るためにスタジアムに足を運んでくれた方もいます。

――しっかりと仕事に取り組めていると思いますが、周りのスタッフの理解についてはどう感じていますか?

同年代のスタッフも多いので楽しくやれています。同僚もスポーツをやってきた人が多く、サッカー好きな人ばかりで、仕事終わりにサッカーやフットサルをする時もあります。先日は先輩スタッフにパントキックを教えたり(笑)。人には恵まれています。ただ、なでしこリーガーの認知度がまだまだ低く、当初は「何で働いているの?」と訊かれました。“なでしこ”というワードの認知度は高いのですが、選手を取り巻く状況や環境など知らない方も多いと感じました、もっと“なでしこ”自体を広めて行かなければいけないと改めて感じました。

――オフの日はどのように過ごしているのですか?

予定がなければ掃除を始めます。あとは買い物が好きなのでショピングモールに出かけます。衝動買いをすることはありませんね。この前、900円のTシャツを買うために、お店の前を2往復して30分迷い、思い切って購入をしたほどです(笑)。あと自分がお世話になったサッカークラブなどに指導をしに行きます。

――ちなみに船田選手の趣味を教えてください

趣味は掃除ですかね。あとは自分のキャラにないのですがお菓子作りです。結構、ストレス解消になります。ホイップクリームをかき混ぜる時は最高のストレス解消です。チームでもあまり知られていませんが圧倒的にギャップがありますね(笑)

――“ゴールキーパーあるある”として、グローブをすることで腕が変に日焼けをしますが気になりますか?

私は気にしません。日焼けよりも暑さが勝ちます(笑)。基本的に夏場は暑がりで冬場は寒がりです(大笑)

――では、仕事とサッカーの両立について、苦労している点、充実している点を教えてください?

私は周りの方に恵まれていることもあってか苦労は感じていません。患者さんやスタッフを含めて応援をしてくれていますし、それが自分の原動力にもなっています。サッカーでは、今年、監督が代わって各々のサッカーセンスを問われています。今のままではダメ。チャレンジをする意味でも成長をしていかなければいけません。


架け橋になる

――ジェフL(2007~2013)で育ちましたが、一度、移籍(ちふれASエルフェン埼玉/2014~2016)を経験し、そして2017年から再びジェフLでプレーをしていますが、その決断をした理由を教えてください。

すべての環境を変えてチャレンジすることが自分の中のテーマでした。当時、ちふれには元日本代表の山郷のぞみさんが所属をしていて、その中で自分がどれだけできるのか、という2つの目標を持っていました。しかし、いざとなると自分の下手くそ加減を知りました。そこでキャッチングなど基礎的な部分をみっちりやることでキーパーが断然と面白くなりました。ボールを止める、受ける、相手の攻撃を寸断することの楽しさを知りました。ちふれでは試合に出させてもらっていましたが、ジェフLから声がかかり戻っくることも一つのチャレンジと捉えました。自分が育ててもらったチームに恩返しをすること、再び、環境が変わった中でどれだけできるのか、と思いジェフLへの復帰を決めました。

――ここまでの前半戦を振り返ると、どんな印象が残っていますか?

リーグ前半戦はホームで中々、勝てませんでした。勝ち切れない試合が多かったので、そういった部分の弱さを払拭して行きたいと思います。カップ戦は去年の優勝がまぐれではないことを証明したかったのですが予選敗退となりました。ただ若手選手や試合に絡めていないメンバーが出場したことで新たな力が融合したことは後半戦につながると思っています。自分も負けないよう、メンバーを鼓舞できるようにしたいです。個人としてはビルドアップの部分が足りていません。多少、プレッシャーが来ても守備陣にポジションを取らせて、つなぐことを意識しています。そこは、キーパー1人の力では出来ません。他の10人との関わりがあってのビルドアップ。誰か一人がサボればコースは消えますし、動けばコースが増えることもあります。全員で話し合いをしながらコントロールをし、マイボールの時間を増やしたいと考えます。

――藤井奈々監督が就任してチームはどう変化をしましたか?

個の技術と判断を求められます。自分で考えてプレーをしなければいけません。自分から発信をして周りを巻き込む力がないといけません。遠慮していたら置いていかれます。私は上と下をつなげるパイプ役になれるように話かけることを意識しています。

――チームとしての収穫を教えてください。

セットプレーでの得点が上がっています。高い確率で得点が取れているので自分たちのストロングポイントになると感じています。

――現在、中断期間ですが、チームとして個人として、どのような部分を成長させたいと考えていますか?

個人として失点を減らすことはもちろん守備範囲を広げたいと思っています。チームとしてボールを保持する時間を増やし球際でも負けないこと、当り前のことを当たり前にプレーできるようにしたいですね。

――ゴールキーパーはミスが失点につながりますが、メンタルの切り替えも大変な部分がありますね?

失点の仕方にもよりますが、自分のミスや失点を防げたと思うプレーは引きずります。深く考すぎた時は頭の中から消えないので、次の練習で同じ過ちがないようにしっかりと修正をしています。

――ゴールキーパーも競争が行われ、メンバー外の試合もありましたが?

メンバー外になったことで、朝の会場設営から試合後の片づけを経験をし、裏方に回ってくれたメンバーの思いや気持ちを感じました。それを経験したことで絶対に試合に勝たなければダメだと強く思いました。

――理想のゴールキーパー像はありますか?

常に笑っていたいですね(笑)。1対1の場面でも余裕のある選手になりたい。味方の良いプレーにも笑顔で応えられるようなキーパーですね。(ロシアW杯で気になったのは)クルトワ選手(ベルギー)です。熱い感じではなく顔色を変えずに飄々としている。しっかりとポジショニングを取って、やるべきことをやる印象です。いやらしいですね。

――これだけ船田選手を夢中にさせているサッカーの魅力・ゴールキーパーの魅力を教えてください。

サッカーは人と人とのつながりを作ってくれます。サッカーを通じて多くの人とつながりを持てることです。ゴールキーパーの魅力は絶体絶命のピンチを救った時のサポーターの歓声と快感は忘れられません。病みつきになります(笑)

――最後に今シーズンの目標を教えてください。

ホームでは1試合でも多く勝って、みんなと喜び合いたいです。上位に食らいつき3位以内に食い込みたいと思います。